2024年 5月 7日 (火)

「オンライン飲み会」まだやってる? 運営企業と利用者に「現状」聞くと...

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   新型コロナウイルスの感染拡大を受けて注目を浴びた「オンライン飲み会」が、曲がり角を迎えている。

   国土交通省が2020年8月に約1万3000人を対象に行った意識調査では「オンライン飲み会」を続けたい意向を持つ人は全体の2割以下にとどまった。オンライン飲み会ツールを運営する企業の代表は「GWが利用者のピーク」だったとし、感染の「第3波」を迎えたとされる現在も、需要の拡大は見込めないと語る。

  • 「オンライン飲み会離れ」起きている?(画像はイメージ)
    「オンライン飲み会離れ」起きている?(画像はイメージ)
  • 「オンライン飲み会離れ」起きている?(画像はイメージ)

忘年会は7割が「対面希望」

   「オンライン飲み会」は「Zoom」などのビデオ通話ツールを通じて、オンライン上で「飲み会」を開くというもの。新型コロナウイルスの感染拡大や、4~5月にかけての緊急事態宣言によって、対面での「飲み会」実施が難しくなった中で、その代替手段として注目を集めた。

   企業も「オンライン飲み」市場を盛り上げようと反応した。アサヒビールは4月~5月にかけて、芸能人と消費者がZoomで「オンライン飲み会」をするという「いいかも!オンライン飲み ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR」を4回開催。6月11日には日清食品が、今田耕司さんらお笑い芸人が出演する「オンライン飲み会」をテーマにしたウェブ動画を公開し、話題を呼んだ。

   井藤漢方が8月27日~31日にかけて、20~60代の「週に1回以上飲酒をする男女」1000人を対象におこなった調査では、「オンライン飲み会」の経験率は全体の26.4%だった。一方で、消極的なデータも出ている。国交省・日立東大ラボが8月3日~25日にかけて約1万3000人の男女を対象に行った調査では、「オンライン飲み会」を続けたいという意向の人は全体の2割以下にとどまった。

   また、レンタルスペースのプラットフォーム運営をする「スペースマーケット」が20代~50代までの会社員501人を対象に行った調査(10月20日〜23日)では、今年の忘年会は7割がオンラインではなく「対面開催」を希望していると回答した。

「風潮の変化」口にする人も

   「オンライン飲み会」に対する人々の考え方に、変化が生じたのだろうか。緊急事態宣言下で「月5回程度オンライン飲みをやっていた」という20代男性は、J-CASTニュースの取材に対し、「風潮の変化」を口にした。

「緊急事態宣言解除がきっかけで、オンライン飲みするぐらいなら普通に飲めばいいという風潮が周りで広がり、そこからは行っていません」

   対面・オンライン問わず、飲み会自体を「そもそもやっていない」という別の20代男性も、宣言解除以降から世間の「風潮の変化」を感じたという。

「自分の周りでも『そろそろ(対面でも)大丈夫なんじゃないの?』みたいな空気はあったように思います。最近は夜(8時半とか9時ごろ)に最寄り駅から自宅に帰る途中、扉や窓を開け放ちながら(おそらく密閉対策)営業し、ほぼ満席状態のバーや居酒屋などを何件か見かけるようになりました」

   日本フードサービス協会が10月26日に発表した調査によると、緊急事態宣言下の4月、5月の「パブレストラン/居酒屋」の利用客数は、前年同月の1割程度に低迷。しかし、宣言解除後の6月以降は、おおむね前年同月4割~5割程度まで回復を見せている。「対面飲みでも大丈夫だろう」という意識の変化は、こうしたデータにも表れていると言えそうだ。

   他にも、「セッティングが面倒だった」(20代女性)、「終わった後の物足りなさを感じる。雰囲気があまり得意ではない」(別の20代女性)などの理由で、「オンライン飲み会」をやめてしまったという人もいた。

1日30万人→月10-20万人も...「たくのむ」運営代表は悲観せず

   「オンライン飲み」は、もう下火になってしまったのだろうか。アカウント登録なしでオンライン飲み会ができるサービス「たくのむ」を展開している1010(東京都新宿区)の清瀬史代表取締役は、11月13日にJ-CASTニュースの取材に対し「利用者数はGW(ゴールデンウイーク)がピークで、1日あたり30万人が利用していました」と話す。

   清瀬代表は「コロナへの意識が最も緊迫していた時期」「連休だが人々がどこにも行けなかった」「オンライン飲みへの注目の高まり」の3要素が重なったことで、GWに利用者が爆発的に伸びたと分析する。しかし、GW明けには「利用者数が顕著に下がった」とし、その後は現在に至るまで「月あたり10~20万人」規模で推移。7月に新型コロナの「第2波」が訪れた際も利用者数の大きな変化が見られなかったことから、現在懸念されている「第3波」で「オンライン飲み」需要が急拡大することは想定していないという。

   こうした状況にもかかわらず、清瀬代表は悲観の色を見せない。ブームがひと段落したタイミングでユーザーアンケートを取ったところ、興味深い結果が表れたという。

「コロナという要素に関係なく、オンライン飲み会をしている方々が浮かび上がりました。実家に住む家族、高校の同級生、昔の親友など『会いたいけど、遠くにいるから会えない』という人たちがオンライン飲み会という手段を知り、コロナが落ち着いた後も利用を続けていたんです」

   今後は、共通の飲食物をサイト上から注文できるサービスなど、お互いが離れた場所に居ても高い「共有度」を感じられるような仕組みも検討しているという。清瀬代表は「ビジネス会議ツールでは体感できない、お互いの親睦を深められるような『オンライン飲み会特化型』の仕掛けを用意していきたい」と展望を語った。

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