2021年 6月 21日 (月)

「五輪、普通はない」尾身氏発言の波紋 野党は賛同も...政府は聞く耳持たず?

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「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はないわけですよ」

   政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が2021年6月2日の衆議院厚生労働委員会で口にした、東京五輪・パラリンピックをめぐる一連の発言が波紋を広げている。

  • 分科会の尾身茂会長
    分科会の尾身茂会長
  • 分科会の尾身茂会長

東京五輪は「何のためにやるのか」

   尾身会長の発言は、次のようなものだ。

「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はないわけですよね、このパンデミックで。そういう状況のなかで、やるということであれば、オーガナイザー(主催者)の責任として、開催の規模をできるだけ小さくして、管理の態勢をできるだけ強化するというのは、私はオリンピックを主催する人の義務だと」
「そもそも、今回のオリンピック、こういう状況のなかで、一体何のためにやるのか。目的ですよね。そういうことが、ちょっと明らかになってないので。このことを私はしっかりと明言することが、実は人々の協力を得られるかどうかという、非常に重要な観点だと思うので」

   こうした尾身氏の発言に野党からは賛同の声が上がっているが、当の政府の反応は通り一辺倒だ。報道によると、菅義偉首相は2日夜に首相官邸で記者団に対し、「感染対策をしっかり講じて安全・安心の大会にしたい」と述べたという。

   加藤勝信官房長官も3日午前の会見で、尾身会長の発言について、

「感染拡大防止に全力を尽くすとともに、取り組みについて丁寧に説明していくことが重要だと考えている。政府としても大会準備に向けて、しっかり取り組んでいきたい」

と話した。また、各紙の報道によれば、田村憲久厚生労働相は4日の閣議後会見で、尾身会長の発言を参考にするとしつつも、「自主的な研究の成果の発表だと受け止める」と発言したという。

尾身氏は「解任覚悟」との見方も

   一般紙の政治部記者は「今まで尾身会長も我慢してきたが、さすがに今の状況で五輪を強行することを見過ごせなかったんでしょう」と見る。

「政府にとっては耳の痛い話だが、分科会の会長として解任を覚悟して発言したのだと思う。ただ政府はこのまま五輪開催に突き進むでしょうね。今中止を決断したら菅政権は倒れてしまう。
自民党の議員から反対の声が上がらないのも、にらまれるのが怖いから。五輪開催という実績を作ることばかり考えて、国民の安全、安心は二の次ですよ」

    9都道府県に発令されている緊急事態宣言が今月20日まで再延期され、五輪開催に反発の声が高まっている。政府は説明責任を果たしているとは思えない。このままでいいのだろうか。

(中町顕吾)

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