2024年 4月 19日 (金)

本国アメリカとは対照的? 「鉄オタ大使」が日本の鉄道システムを絶賛した背景事情

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   2022年1月23日に着任したラーム・エマニュエル駐日アメリカ大使の「鉄道好き」の一面が注目を集めている。

   2月17日には東京から横須賀米海軍基地への移動に京急電鉄を利用し話題となった。報道によれば、外国要人が公務で一般の通勤電車を利用するのは異例。在日米国大使館ツイッターの投稿でも、エマニュエル氏の趣味として「鉄道」が挙げられていた。

   「鉄道大国」日本に興味津々の大使だが、本国アメリカの鉄道はどうなのか。

  • エマニュエル新駐日アメリカ大使(写真:picture alliance/アフロ)
    エマニュエル新駐日アメリカ大使(写真:picture alliance/アフロ)
  • 東海道新幹線乗車を報告するエマニュエル大使
    東海道新幹線乗車を報告するエマニュエル大使
  • エマニュエル新駐日アメリカ大使(写真:picture alliance/アフロ)
  • 東海道新幹線乗車を報告するエマニュエル大使

京急と新幹線を絶賛する大使

   エマニュエル氏は20日にも、東海道新幹線に乗ったことをツイッターで報告。「妻エイミーと一緒に新幹線に初乗車。日本を最も象徴する都市の一つである #京都 を探訪するために世界最速列車の一つに乗りました」と伝えていた。

   17日の京急電鉄乗車時にも「ワールドクラスの日本が誇る鉄道システムはまさに世界トップクラス」と、日本の鉄道を高く評価するツイートをしている。

   そんなエマニュエル氏の母国アメリカでは、鉄道の地位は低い。広大な国土ゆえに都市間の長距離輸送は航空機がメインで、都市内の交通も自動車が圧倒的に優勢。東海道新幹線のように高密度で走る高速列車は稀だ。

   唯一北東部のボストン~ニューヨーク~ワシントンD.C間にアムトラック(全米鉄道旅客公社。日本の旧国鉄に相当)が運行する高速列車「アセラエクスプレス」「ノースイースト・リージョナル」が走るが、本数は1時間に1本程度で最高速度は時速200~240キロ程度だ。

   日本の大手私鉄や地下鉄に該当する都市鉄道もアメリカでは貧弱である。地下鉄が充実しているのもニューヨーク・シカゴ・サンフランシスコ・ボストン・アトランタ・ワシントンD.Cなど一部の都市に限られている。全米第二の都市ロサンゼルスにも1993年まで地下鉄がなかった。全国に鉄道網が普及している日本とは大きく事情が異なる。

   エマニュエル氏は駐日大使着任前の2011~19年にシカゴ市長を務めた。シカゴにもシカゴ交通局(CTA)が運営する鉄道があるが元は19世紀につくられた高架鉄道で、バリアフリーやホーム上の安全対策は立ち遅れている。京急電鉄との差もうかがえよう。

テキサスに新幹線計画はあるが

   航空機と自動車が交通手段の中心になるアメリカでも高速鉄道の計画は立てられている。

   最も進行しているのがテキサス州のダラスとヒューストンを結ぶ「テキサス・セントラル・レイルウェイ」でJR東海が技術支援を行い、N700系ベースの車両イメージも公開されている。ダラス~ヒューストン間の約390キロを90分で結ぶ計画で2026年の開業を目指すが、22年時点で着工には至っておらず予定通り開業できるか不透明だ。

   計画が予定通りに行かないのはテキサスだけではない。カリフォルニア州ではサクラメント~サンフランシスコ~ロサンゼルス~サンディエゴを結ぶ高速鉄道計画がシュワルツェネッガー州知事時代に立ち上がっていた。

   しかし現在のニューサム州知事は19年にコストがかかりすぎることを理由に計画の大幅な縮小を表明し、地方部の新線開業にとどまる方針を示した。エマニュエル大使が「世界最速列車」と讃えた東海道新幹線とは対照的に、アメリカに「新幹線」が走る日が来るかどうかの先行きは未だ不安定である。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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