2024年 5月 4日 (土)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
マスコミの岸田首相オンライン取材、コントを見ているようで笑いが止まらなかった

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   岸田文雄首相は新型コロナウイルスに感染したが、2022年8月22日から首相官邸に隣接する公邸からオンラインで公務をしているという。一刻も早い回復を祈りたい。

   22日からオンライン公務ということだったが、午後7時すぎにオンラインで記者団の取材に応じた。

   首相は、官邸において、いわゆる「ぶら下がり取材」を受ける。これは、首相が執務室を出てきた時に、まわりを記者が取り囲み、首相が立ったまま、取材を受けるものだ。

  • 首相官邸ウェブサイトより
    首相官邸ウェブサイトより
  • 首相官邸ウェブサイトより

官邸記者クラブの意味

   オンライン取材の報道をみて、かなり笑ってしまった。通常の「ぶら下がり取材」で、岸田首相だけがオンラインで、そのほかの記者は岸田首相が映し出されるモニターの前に集まり、モニターから流れる声をボイスレコーダーで拾っていたのだ。

   本J-CASTニュースでも<モニター前に記者集合...岸田首相リモート会見が「シュールすぎ」 SNSで違和感噴出、官邸の見解は>と報じられていた。

   普通は、オンラインと聞けば、会議IDを送ってもらって、自分のデスクで行う。そうすれば、録画録音機能があるので、それを使って対応する。マスコミからはこうした発想がないのか、あっても官邸側が対応できないのか、よく分からない。

   マスコミの中には、モニターに映し出された岸田首相を取り巻く記者たちにカメラマンが混じって、モニターをそのまま首相記者会見として放送しているところもあり、コントを見ているようで、筆者は笑いが止まらなかった。

   官邸側も、折角オンラインなのだから、それをそのままネットに上げればいいものを、そうした工夫はない。もっとも、それを行うと、官邸記者クラブの存在意義までなくなってしまうだろう。官邸に物理的にいて、首相の「ぶらさがり会見」の様子をすべて握っているのが官邸記者クラブの意味だからだ。ぶら下がり会見をそのまま官邸がネットに流したら、記者クラブの意味がなくなる。

官僚時代の苦い経験

   筆者は、記者クラブについて、官僚時代の苦い経験がある。まだ、霞ヶ関官庁がホームページも持っていなかった1990年代中頃だ。当時の大蔵省で、筆者は特殊法人の情報公開を担当していた。インターネットもあまり知られていなかったが、筆者は自前で役所のホームページを立ち上げていた。それが珍しかったので、テレビ取材もあり、筆者の右手でクリックする場面がとられた。

   特殊法人以外の新聞発表資料も公開したが、大蔵省記者クラブから猛烈な抗議を受けた。その当時、新聞公表資料は事前にマスコミに配布し、それをマスコミが記事にしていたが、マスコミ配布と同時にネットで公開したからだ。筆者は抗議を受け入れ、その後、ネットで新聞発表するようになったのは、かなり後だ。

   既得権者にとって技術はいつも脅威なので、今回のマスコミ「コント」も笑えないところもある。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


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