2024年 4月 30日 (火)

「誕生して数ヶ月の命。人害により奪われました」 奈良公園の小鹿「こつぶちゃん」死亡、支援団体がルール順守呼びかけ

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小鹿を取り巻く厳しい環境

   愛護会は18日、取材に「毎年そうですが、生まれて一歳になるまでの死亡数は多いんです。(こつぶちゃんは)小さい鹿で冬を越すのはしんどかったのではないか」との見方を示す。奈良教育大の鳥居春己特任教授らの研究では、1歳末までにほぼ半数が死亡すると推定している。これは、一般的な野生鹿の初期死亡率と同様だという。

   小鹿は生まれて1~2か月は乳を飲み、その後は自力で食べ物を探す。母鹿の性格によっては面倒をみない鹿もいるという。

   冬の時期は寒く、食べ物も少ない。野生のシカにとっては過酷な時期だ。愛護会の2022年の死亡頭数調査では、全体の約1割にあたる130頭が死んでいる。死因の最多は「その他」(多くは不明)の54頭で、疾病(49頭)、交通事故(27頭)と続く。小鹿は231頭生まれており、前述の研究を参考にすれば110頭あまりが命を落とす計算になる。

   愛護会は負傷や病気の鹿はなるべく保護する方針だが、衰弱した鹿は状況次第となる。県は奈良公園の鹿は飼育されていない「野生生物」との考えで、人が介入する際は慎重さが求められる。

   環境が変わればストレスになってしまい、獣医師は一人しかおらずリソースも限られている。

   来園者のマナー問題については、出産時期には園内で広報しているものの、やはり職員の数の関係で限界があるという。

   奈良県が22年4月にまとめた「奈良のシカ保護計画」では、観光客による鹿せんべい以外の給餌やゴミ誤食による健康被害、車両との接触事故などここ数年で多くの課題が表面化していると指摘する。

   県は「『奈良のシカ』と人とのふれあいの健全化」「『奈良のシカ』車両との交通事故防止」「重点保護地区における『奈良のシカ』の生息環境の改善」「『奈良のシカ』による農業被害・生活被害の軽減」の4つを目標に掲げ、解決を目指すとしている。

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