2024年 5月 17日 (金)

アニメ界「月間225時間以上労働」5割、「年収240万円以下」4割 業界からは「全てが悪循環」

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修正が済んで整っているはずの原画が崩れていた

   アニメーターの河村さんも、業界の現状を「ほとんどの工程でリテイクが発生している状態ではないか」と話す。アニメ業界では多い働き方であるフリーランスとしてアニメの原画を担当している。

   原画担当とは、動きの中心になる画を描く仕事だ。その画を演出、作画監督、カットによっては総作画監督が確認、修正する工程を経る。次に、原画が滑らかに繋がって見えるよう間を描くのが動画担当だ。アニメの基礎的な知識が学べるため、新人が最初に担当する場合が多い。

   河村さんは、動画担当時に「幾つものセクションを経て修正が済み整っているはずの原画がかなり崩れていて、キャラが人の形をしていなかった。その時に『アニメ業界、結構ヤバいかも』と思いました」と振り返る。

「30、40代の人たちは非常に忙しく、50、60代の先輩たちも大変そうで、なかなか話しかけられませんでした。全体的に育成するような余裕はないなと感じました」

   河村さんが問題視するのは、NAFCAの福宮さんと同様、アニメ業界全体のスキルが低下していることだ。クオリティーの低い素材をリテイクする時間が多いことで、現場が疲弊している状況の改善を求めている。

   労働時間や収入面など厳しい状況が続く業界。それでも今後もアニメ業界で働きたいと望む人が多いのはなぜなのか。河村さんは「やっぱり一番は楽しいから続けたいんじゃないのかなと思います」と話す。「もうけ」が目的ではないとも。

「多くの人は『楽しいから』とか『自分の技術を上げたいから』という理由で続けたいのだと思います。長時間労働だと言われますが、やればやるほど技術が上がることに時間を費やすのは当たり前とは思います」

   NAFCAの福宮さんも、画を描くことに没頭して時間が経っていたと話すアニメーターは多いと説明する。「長時間労働は異常だと書きましたが、元々絵を描くのが好きな人が多いので、それを負担に感じる人は少ないかもしれません。だからと言ってこのままでいいとは思いませんが、まずは給与面が上がってほしいと思います」

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