「副首都法案」は大阪ありきなのか 維新・吉村代表が出演しアピールも...在阪テレビ局の取りあげ方

   与党・日本維新の会肝入りの「副首都法案」を巡って、国会を延長し2026年7月24日にも成立する見通しと報じられている。

   在阪テレビ局は「副首都法案」をどのように報じているのか、各番組の伝え方をまとめた。

  • 2025年10月、自民・維新が連立政権成立で合意(写真:ロイター/アフロ)
    2025年10月、自民・維新が連立政権成立で合意(写真:ロイター/アフロ)
  • 大阪都構想を巡り開かれた「タウンミーティング」。「副首都法案」について会場でアンケートも(2026年5月7日、大阪市都島区)
    大阪都構想を巡り開かれた「タウンミーティング」。「副首都法案」について会場でアンケートも(2026年5月7日、大阪市都島区)
  • 2025年10月、自民・維新が連立政権成立で合意(写真:ロイター/アフロ)
  • 大阪都構想を巡り開かれた「タウンミーティング」。「副首都法案」について会場でアンケートも(2026年5月7日、大阪市都島区)

特別区の設置「大阪都構想そのもの」

   朝日放送テレビの報道・情報番組「news おかえり」は7月14日に副首都法案について、「大阪ありきではないか」という点に焦点を当てた。

   副首都法案は、大規模な災害に備えて代替機能を地方に整えるものとした上で「副首都の指定要件が事実上、大阪を想定しているとの批判が相次いでいる」と伝えた。

   副首都の指定要件としては、政令指定都市と道府県が連携協約を結ぶ、または政令指定都市を廃止して特別区を設置する、いずれかが必要とされている。番組は、

「このうち、特別区の設置は維新の結党の原点である大阪都構想そのもの。結局は維新の悲願を成就させるための法案なのではないかというのが大方の野党の見方」

と解説した。

「維新の話はまさに我田引水」

   7月13、14の両日開かれた衆院の特別委では、参政の谷浩一郎議員が、

「このままでは全国的な危機管理制度ではなくて、実質的に大阪を副首都に指定しやすくなるための制度になり、大阪の大阪による大阪のための法案との批判を免れないのではないか」

また、共産の辰巳孝太郎議員は、

「法案の一番の狙いはインフラ整備などにかかるお金を国から引っ張ろうとするもの。特別区を設置しなければ副首都ができないという元々の維新の話はまさに我田引水だと」

などと発言。番組では、こうした声を紹介した。

   また、必要なコストに関しては、「現時点でコストがどの程度というのは答えられず、政府において検討されるものと考える」(法案提出側の維新・高見亮議員)との答弁を伝えた。

   VTRを見たノンフィクションライターの石戸諭さんは、自民・維新の政策協定時から指摘されていた内容が今国会で繰り広げられているだけとし、「もうちょっと丁寧に国会内で議論尽くしてかなきゃいけなかったのに、議論に入るのがいくら何でも遅すぎる」と批判。そして、

「『どう考えたって維新のための法案だよね』っていう批判は当然ついて回るし、拙速にやればやるほど、ついて回ることになると思う」

と述べた。

副首都・大阪のデメリットは「気の緩み」?

   7月16日の情報番組「かんさい情報ネットten.」(読売テレビ)では、国会終盤の注目法案として衆院を通過した「副首都法案」を高橋克哉解説委員が解説した。

   副首都に名乗りを上げている大阪府、北海道(札幌市)、名古屋市、福岡県(北九州市、福岡市)のメリット、デメリットを比較した上で、東京と同時被災しない、人口・経済の規模などの国会で議論されている副首都の4つの要件から考えると「大阪は各分野で優位」と解説。その上でデメリットとして、大阪が日本で2番目だから大丈夫だろうという「気の緩み」を挙げた。

   また、福岡のデメリットとして、福岡県議会で取り沙汰される金銭授受疑惑「カツアゲ疑惑」があるとした。永田町では大変深刻に受け止められており、自民・国会議員の話として「さすがに副首都に手を挙げるのは難しいんじゃないか」との声を伝えた。

   解説を聞いた経済学者の朴一さんは、法案で一番違和感を覚えることとして、

「どうしても大阪に利益誘導をしているように見える。そこらへんを大阪以外の人がどう見ているのか気になりますね」

と疑問を呈した。

なぜ副首都の定義より前に指定できるのか、との批判も

   維新の吉村洋文代表が出演したのは、7月17日放送の情報番組「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」(朝日放送テレビ)。

   野村修也弁護士、お笑いコンビ「ゆかいな議事録」で選挙大好き芸人の山本期日前さんが都構想について解説した。

   野村弁護士は「人口減少時代の日本のカタチは、複数の副首都を中心とした広域行政」だと主張。山本さんは、都構想の住民投票の鍵は「公明党」と指摘した。公明は、1回目の投票は賛成、2回目は反対、3回目は反対のスタンスだ。

   また、来年の統一地方選と同時に住民投票を実施することで、全国の政治関係者が「地元に留まり、大阪入りする機会が減るのでは」と分析。告示日がそれぞれ違うことで政治活動が一定制限されることへの影響も指摘した。

   経済学者の高橋洋一氏は、副首都実現に伴う経済効果について、

「20兆円以上になり、高市さんの投資戦略とあっている」

と主張した。

   中道の伊佐進一議員は「大きな方向性は賛成」としつつも、

「この法律の中身があまりに決まってないことが多すぎる。副首都の定義、機能がなんなのかということが実はまだ決まってない」

と指摘。

「副首都がどういう機能か議論する前に副首都の指定が先にできる。なんでそんな急いでいるのかと。もしかしたら住民投票を来年4月の統一地方選に合わせているんじゃないか」

と訴えた。また、住民の負担について、インフラ整備を例に挙げて、「国が2分の1、府が4分の1、市が4分の1がスタンダードで、府民市民が負担するケースが絶対に出てくる」と指摘した。

吉村代表「大阪はシンプルに副首都にふさわしい」

   吉村代表は、災害などのリスクを考えた上での首都機能の分散のメリットのほかに、

「30年以上、全部東京に一極集中して、日本は成長していない。若者が全国から東京に目がけていくんですけど、人口減少しているから若者の数も減る。放っておけば、東京も沈没する可能性がある。ジリ貧になる。そんな未来を見たくない。その地域で生まれた若者が自分の夢とか希望を叶えられるエリアをちゃんと作るべきだ」

と訴えた。

   また、「大阪は経済的にシンプルに見たら、副首都にふさわしい」としつつも、「(副首都は)全国に何か所かあった方がいいと思う」と述べた。来年の統一地方選に住民投票を行うことについては「決まっていない」とする一方「選挙があるんだったら同じ日に投票できた方が合理的」と主張した。

   パネラーで、タレントの小原ブラスさんは、デジタル庁の設置など「先にやると決めてから細かいことを決めていった」という例はある、アイドルグループ「WEST.」の中間淳太さんは「やってみな分からへん。やる前からゴタゴタするのは一生時間が進まないのが時間の無駄」と都構想を支持した。

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