ウクライナのゼレンスキー大統領はフェドロウ国防相に次いで、シルスキー軍総司令官も解任した。7月22日放送の「報道1930」(BS-TBS)はこの一連の更迭劇を取り上げたが、ウクライナ軍内部で何が起きているのか。
60歳のベテラン総司令官と35歳人気の国防相
番組は、今年1月に国防相に就任したフェドロウ氏の足跡を追った。AIを使ったドローン攻撃などでウクライナの戦況が有利になった立役者としても脚光を浴び始めたことを紹介する。軍改革にも積極的で国民的人気も高かったフェドロウ氏は更迭されるが、会見を開きシルスキー軍総司令官を公然と批判。フェドロウ氏擁護のデモが全土で続いていた。ゼレンスキー大統領はシルスキー軍総司令官を解任するまで追い込まれた形となった。
2人の対立の背景に何があったのか。旧ソ連諸国の経済・政治情勢を研究している北海道大学教授の服部倫卓さんは「(シルスキー氏は)ソ連の伝統を引き継ぐ60歳のベテラン総司令官。35歳のフェドロウ氏はスタートアップ企業の社長みたいなもの。本来であればお互いに補いあえる関係だったと思うが、スピード感とか価値観の部分ですれ違ってしまったのかなと思う」と世代間の認識の違いを一因に挙げた。
軍政と軍令対立は世界中どこでも起きやすい
前ウクライナ大使の倉井高志さんは別の見方である。
「そもそもフェドロウ氏は軍政、軍のアドミニストレーション(管理や運営)側で、シルスキー氏は軍令、戦争を(実際に)する側。軍政と軍令対立は世界中どこでも起きやすい。軍政は人事や予算をやったり(兵器を)調達をしたり。(軍政と軍令の役割は)一応分かれているが、重なる部分もでてくる。兵器の調達などについて現場レベルの込み入った話で2人がもめているなかで、性格的なこととか年齢的なことが重なって対立がエスカレートしていったのかなと思う」と分析した。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)