任期満了に伴う沖縄県知事選(2026年8月27日告示、9月13日投開票)への立候補を表明していた元衆院議員の下地幹郎氏(65)が8月25日、自身のXで不出馬を表明した。
下地氏が撤退したことで、現時点で6人が立候補の意向を示しているが、3選を目指す現職の玉城デニー氏(66)、前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)による、事実上の一騎討ちの構図が固まった。
ただ、告示前に相次いで開かれた討論会を振り返ると、下地氏が攻撃の矛先を向けていたのは玉城氏だけではない。保守・中道勢力の支持をめぐって競合していた古謝氏に対しても、看板政策の実現性や基地問題への姿勢を繰り返し追及していた。
10年後の「所得2倍」は「私からすると本末転倒」
両氏の最大の対立点が、県民所得と家計支援をめぐる政策だ。
古謝氏は、約10年間で1人当たり県民所得を現在の約231万5000円から500万円以上にする「所得倍増」を掲げる。中小企業へのDX・AI導入、観光の高付加価値化、創薬、ヘルスケア、海洋産業、スタートアップの育成などで経済規模を拡大する考えだ。
これに対し下地氏は、将来の成長を待つより、教育費や交通費などの負担を直ちに減らし、可処分所得を増やすべきだと主張した。8月17日の琉球新報、沖縄テレビ、ラジオ沖縄による討論会では、
「古謝さんが『所得2倍』と言っているが、何年目に達成するのか。10年後だと言っている。これは私からすると本末転倒の話。私はとにかく来年の4月1日から子どもの教育費を完全に無償化して、とにかく負担軽減する」
と訴えた。
8月20日のReHacQ討論会では、古謝氏が目標にする1人当たり県民所得には企業所得も含まれ、個人の手取りとは異なると追及。古謝氏は「個人所得もしっかりと引き上げることによって、給与に回るということをしっかり目指してきたい」などと応じた。
下地氏はさらに、所得倍増の前提になる年7%程度の成長を実現するなら、製造業、農業、DX、スタートアップがそれぞれどれだけ所得を押し上げるのか示すべきだと主張。古謝氏が産業別の詳しい数字までは持っていない認めると、こう批判した。
「知事選に出て所得2倍と言っている人が、数字を持たないでこんなことを県民に話すこと自体、あなたおかしいんですよ」
古謝氏は指摘を受け止めつつ、「沖縄だからしょうがないと諦めるのではなく、しっかり高い目標を掲げることが重要だ」と反論した。
辺野古のヘリパッド「先行移転案」、実現可能性は
米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐっては、両氏とも現行計画を基本的に容認する立場だった。しかし、具体策では対立した。
古謝氏が日本維新の会と結んだ政策合意では、工事完了を待たず、ヘリコプター部隊の訓練機能を先行移転させる案も掲げている。
8月23日の選挙ドットコム討論会で、下地氏はこの案を追及。V字形滑走路の建設中に、オスプレイなどの駐機や整備に必要なスペースを確保できるかを疑問視。政府の現行計画とも整合せず、県民を混乱させるのではないかと批判した。
古謝氏は、辺野古移設容認と、完成までの負担軽減策を模索することは矛盾しないと反論した。ただ、具体的な運用方法については「これからの調整」だとした。
一方、下地氏は辺野古の計画を変更し、滑走路を延長して民間と米軍が共用する「やんばる国際空港」を整備すれば、7年から7年半程度で解決できる、というのが持論だ。
古謝氏が、これらの疑問にどこまで具体的に答えられるかも焦点となりそうだ。
県知事選には、玉城、古謝両氏以外に、表明順に、会社社長の比嘉隆氏(49)、政治団体代表の屋良朝助氏(74)、IT会社社長の兼島俊氏(48)、医療法人会長の末吉正弘氏(73)が立候補の意向を示している。