任期満了に伴う沖縄県知事選が告示された2026年8月27日、3選を目指す現職の玉城デニー氏(66)が那覇市の県民広場前で演説した。玉城氏は沖縄本島北部の本部町・備瀬崎で第一声を上げ、名護市、うるま市、沖縄市、宜野湾市、南風原町と南下。初日の最後に県都・那覇へ入った。2期8年の実績は「道半ば」だとして県政の継続を訴える一方、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設や、先島諸島などで進む自衛隊配備の強化に反対。「沖縄の戦後はまだ十分な戦後とは言えていない」と述べ、「新たな『戦前』が持ち込まれようとしている」と危機感を示した。同日朝、同じ場所で「誰かのせいにしない沖縄を作りたい」と訴えたのが、前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)だった。国や大企業、県外資本を「悪者」にしても沖縄は変わらないと主張した古謝氏とは、県政観や基地政策の違いが改めて鮮明になった。「沖縄の戦後はまだ十分な戦後とは言えていない」玉城氏は2期8年について、県庁職員や関係団体、研究者、学生らとともに施策を積み上げてきたと説明。成果は県民の生活や仕事に還元されるべきだとした上で、「それが道半ばだからこそ、私がさらに3期目にやらなければならない、やり通さなければいけないという私の決断につながった」と述べた。玉城氏が3期目の大きな目標として掲げたのが、「平和だからこそ(作れる)沖縄の未来」だ。沖縄県には、全国の米軍専用施設面積の約70%が集中し、事件や事故が相次いでいると指摘。那覇空港で自衛隊機の車輪が折れ、滑走路が閉鎖された事故にも触れた。民間空港と自衛隊の共用に加え、米軍も使用するようになれば、県民の不安は一層高まると訴えた。その上で、この不安の理由について「沖縄の戦後はまだ十分な戦後とは言えていないどころか、その戦後に、さらなる新たな『戦前』が持ち込まれようとしているからではないか」と述べた。玉城氏は「これ以上、沖縄に軍事基地はいらない」と主張。先島諸島にある自衛隊基地の拡張・増強や、うるま市へのミサイル配備に反対する考えを示した。辺野古移設についても、「普天間を辺野古に移設するということを進められることがあっていいはずはない」と改めて反対した。玉城氏は、米国防総省の文書によって、普天間飛行場の返還には3000メートル級の滑走路が必要とされていることが明らかになったと主張。本島内で該当するのは嘉手納基地と那覇空港だとして、辺野古に移設先の基地が完成した場合でも、那覇空港を米軍に使用させない保証を政府から得られるのかと疑問を呈した。その上で、「その不安があるから、政府はそれを県民に約束できないから、アメリカと先に約束してしまったという、実は裏事実があるから......」とも主張。その結果として「だから私たちは辺野古に基地を造ることを認めず、普天間の即時閉鎖、運用停止を求め続けなければならないという歴史がある」とした。「歴史に対する責任」を政府に委ねる行為を批判玉城氏は、県知事の役割や重みについて、過去の歴史に学び、現在を考え、将来に責任を持つという「歴史に対する責任」だと説明した。「だから私は3期目でも、この知事としての責任を決して見捨てたり、政府に委ねたり、他力本願で県民の幸せだけを考えればいいというような、軽んじた方法を論じるつもりは全くありません。私に責任を預けてください」などと訴えた。古謝氏は同日朝、国などを悪者にして暮らしが良くならないと嘆くだけでは沖縄は変わらない、などと訴えていた。玉城氏は特定候補を名指ししなかったものの、古謝氏を念頭に置いた可能性がある。県知事選には過去最多となる6人が立候補した。選挙戦は、辺野古移設に反対し県政継続を訴える玉城氏と、移設を容認し県民所得倍増などを掲げる古謝氏による事実上の一騎打ちを軸に展開される。投開票は9月13日。このほか、届け出順にIT会社社長の兼島俊氏(48)、医療法人役員の末吉正弘氏(73)、会社経営の比嘉隆氏(49)、政治団体代表の屋良朝助氏(74)も立候補した。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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