高市早苗首相は2026年9月17日夕、内閣改造にともなう記者会見を開いた。いわゆる「ぶらさがり」会見ではない、首相官邸の会見室に幅広い記者を集めて会見するのは7月27日以来、1か月半ぶり。
では、高市氏の記者会見では、どのような記者が質問できているのか。首相就任後、首相官邸の会見室で正式な形で開かれた記者会見を調べると、フリーランス記者は一度も指名されず、外国メディアやネットメディアも少数にとどまっていることが分かった。
一方で、共同通信や日本テレビなど、複数回にわたって指名された大手メディアもある。幅広い記者に門戸を開いているはずの首相会見だが、実際に質問できる人の顔ぶれには偏りがみえる。
外国メディアは朝鮮日報が2回、ロイターとブルームバーグが各1回
高市氏は25年10月21日の就任会見から26年9月17日までに、官邸の会見室で正式な記者会見を6回開いている。会見時間と質問者数は次の通りだった。
25年10月21日は44分で10人、12月17日は39分で8人、26年1月19日は1時間3分で10人、2月18日は34分で7人、7月27日は58分で11人、9月17日は44分で8人。質問者は延べ54人にのぼった。
ところが、この中にフリーランス記者は1人もいなかった。 外国メディアは延べ4人にとどまった。内訳は朝鮮日報が2回、ロイターとブルームバーグが各1回。国内発行の英字紙「ジャパンタイムズ」を含めても5人だ。
ネットメディアも、ニコニコ動画が2回、アドバンスニュースが1回の計3人だけだった。国内の大手紙、地方紙、通信社、テレビ局などが大半を占めている。
江川紹子氏ら挙手も指名されず
では、指名が多かったのはどこか。首相会見では、冒頭2問が幹事社による代表質問だ。幹事社として質問した場合もカウントすると、最多は共同通信と日本テレビで、それぞれ4回。次いで日経新聞、読売新聞、朝日新聞、NHKが各3回だった。この上位6社だけで延べ20人となり、質問者全体の約37%を占める。
2回指名されたのは、時事通信、フジテレビ、ニコニコ動画、朝鮮日報、CBCテレビ、テレビ東京、東京・中日新聞、京都新聞、TBSの9社。残る16社は1回ずつだった。
地方紙やブロック紙では、神戸新聞、北國新聞、新潟日報、静岡新聞、西日本新聞、沖縄タイムス、南日本新聞、熊本日日新聞、信濃毎日新聞が指名されている。ある程度幅広い地域のメディアが指名されている。
9月17日の会見では、会場では江川紹子氏らフリーランス記者らが挙手していたが、指名されなかった。外国メディアやネットメディアも指名されなかった。
9月18日の木原稔官房長官の記者会見では、前日の首相会見で外国メディアが指名されなかったことについて「非常に内向きの記者会見だと思った」という指摘も出た。木原氏は過去の会見で海外メディアの対面質問にも答えていると説明。「時間の制約」で質問を受けられなかった場合には、後日、書面による質問に回答しているとした。
そもそも「正式な会見」自体が少ない
指名の偏り以前に、高市氏の場合は正式な記者会見そのものが少ないという指摘もある。
就任から約11か月で、官邸の会見室に幅広い記者を集めて行った正式な会見は6回。特に2月18日から7月27日までは約5か月間、こうした形式の会見が開かれなかった。
26年度予算が成立した4月7日にも、高市氏は報道各社の前で説明した。しかし、場所は会見室より狭い官邸内の一室で、フリーランス記者やネットメディアには事前に連絡されなかった。各社の首相動静では「記者会見」ではなく「報道各社のインタビュー」と扱われた。
この時の取材対応は22分で、うち約12分が高市氏の冒頭発言。質問したのは幹事社のテレビ朝日と朝日新聞の2人だけだった。高市氏は歴代政権と比べて取材対応が少ないのではないかとの質問に、
「歴代の政権と比べて多いとか少ないとか、こういうことを私は承知をしていない」
と答えた。その上で、情報発信の方法は多様化しているとして、Xでの発信には、タイムリーに見解を伝え、返信を通じて国民の声を直接受け止められる利点があるとの認識を示していた。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)