猛反発のANAラウンジ「300万円の壁」、一律利用不可を撤回 提携他社便の優先サービス縮小は「心苦しい」

   全日空(ANA)は2026年9月29日、批判が相次いでいた上級会員制度「スーパーフライヤーズカード(SFC)」の変更内容を見直すと発表した。年間決済額が300万円未満の会員は一律でラウンジを使えなくなるとしていたが、国内線では混雑状況に応じて利用できるように方針転換。国際線のANA運営ラウンジも引き続き利用できるようにする。

   ただ、300万円を境に会員を分ける枠組みは維持。ANAが加盟する航空連合「スターアライアンス」での優先搭乗などの特典が失われる点については、ANA側は「非常に心苦しく思っている」と理解を求めた。

  • ANAの上級会員制度の見直しには紆余曲折(2021年撮影)
    ANAの上級会員制度の見直しには紆余曲折(2021年撮影)
  • ラウンジの利用資格が焦点になった(写真はANA提供)
    ラウンジの利用資格が焦点になった(写真はANA提供)
  • ANAの上級会員制度の見直しには紆余曲折(2021年撮影)
  • ラウンジの利用資格が焦点になった(写真はANA提供)

「会員の皆様への配慮が大いに不足」

   SFCは、一定の搭乗実績などを満たすと入会資格が得られる制度で、一度入会すれば、年会費を支払い続けることで、ラウンジ利用などの特典を半永久的に受けられていた。

   ところが、ANAは26年4月、ANAカードなどの年間決済額が300万円以上の会員を「SFC PLUS」、300万円未満を「SFC LITE」とする新制度を28年4月に導入すると発表。LITE会員はラウンジを利用できなくなるとして、反発が広がった。

   6月26日のANAホールディングスの株主総会では、ANAの平沢寿一社長が、会員増加に伴うラウンジの混雑などを説明する一方、再検討する方針を表明。その結果を「上期(26年9月)中をめど」に公表するとしていた。

   9月29日の記者説明会で、神田真也・上席執行役員は、4月の当初発表について「ラウンジの混雑緩和を優先するあまり」、長年支えてきた「会員の皆様への配慮が大いに不足していた」と謝罪した。

国内線は混雑状況に応じて利用可、事前予約制も導入へ

   今回撤回したのは、LITE会員のラウンジ利用を「一律不可」とするルールだ。

   国内線の「ANA LOUNGE」は、入室後に確実かつスムーズに着席できる状況であれば利用できるようにする。混雑予測の仕組みで管理し、混雑時には入室を断る。さらに事前予約制も導入する方針で、可能であれば新制度が始まる28年4月に間に合わせたいとしている。

   国内線の「ANA LOUNGE」以外の共用ラウンジ(関西、名古屋、熊本、宮崎)と、成田の「ANA ARRIVAL LOUNGE」は従来どおり利用できる。国際線では、羽田、成田、ホノルルのANA運営ラウンジを引き続き利用できるようにする。

   新制度は28年4月1日から。28年度の会員区分は、26年12月16日から27年12月15日までの利用額で判定する。27年度中には羽田の国内線ラウンジも拡充する。

   一方、「年間300万円」の基準は維持する。ANAによると、200万円への引き下げなども検討したが、利用できる会員が増えて混雑し、LITE会員の利用枠が減ってしまうという。日常のカード利用を増やし、得られた収益を設備投資やサービス拡充にあてる狙いもある。

ANA運営ラウンジ利用可に...「この点をもってご理解いただきたい」

   LITE会員について、航空連合「スターアライアンス」の資格を「ゴールド」から「シルバー」に格下げする点も維持した。他社提携の国際線ラウンジは利用できず、ANA以外の加盟航空会社の便では、ゴールド資格に伴う優先搭乗や手荷物の優先受け取りなども受けられなくなる。

   大塚大・ロイヤリティマーケティング部部長は、スターアライアンスの共通ルールでは、ゴールド資格とラウンジ利用特典が一体になっていると説明。今回の施策でラウンジの利用制限が一部残るため、「やむを得ずステータスはシルバーにさせていただく」とした。

   他社便のサービス格下げには「非常に心苦しく思っている」と述べた。その上で、ANA運営の国際線ラウンジを利用できるように見直したことや、ANA運航便での優先サービスは維持することを挙げ、「この点をもってご理解いただきたい」と話した。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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