日本ハムは2026年10月5日、主力ソーセージ「シャウエッセン」の内容量を減らすことを発表した。同社は「時代に負けてたまるか。」というキャッチコピーを掲げ、内容量は減っても1本当たりの重量を増やして「肉感をアップ」させたと強調。ところが、ネット上では「時代に負けてる」などと批判が相次ぎ、炎上状態になってしまった。
物価高を背景にした値上げや内容量の削減は珍しくなくなったが、過去には消費者から称賛された企業もある。明暗を分けたのは何だったのか。
「時代に負けてる」と皮肉続出...なぜ反発を招いたのか
シャウエッセンの公式SNSは5日、「正直に伝えます。シャウエッセンの内容量が減ります」と発表。続けて「でも、ただ減らすだけなんてしたくなくて。一本あたりの重量を増やし、肉感をアップしました」と説明し、最後は「時代に負けてたまるか。」と強気な言葉で締めくくった。同日の読売新聞朝刊にも内容量変更を告知する広告が掲載された。
今回のリニューアルでは、主力の2束商品の内容量が117グラム×2パックから107グラム×2パックに変更。従来は6本入っていたパックが5本になると想定される。参考小売価格は税込み702円で据え置かれ、総重量は約8.5%減少する。
これに対して、SNSでは「『負けてたまるか』は、内容量も価格も変えない時に使えるのでは」「完全に時代に負けてるじゃん」などと厳しい声が続出した。
大きな批判が起きた原因は、内容量の削減よりも、その伝え方にあったと考えられる。同じ価格で買える量が減るのは「実質値上げ」だが、メーカー側が「肉感アップ」を強調し、さも消費者にとってメリットのある変更であるかのように言い換えたことが、強い反発につながったのだろう。
「持ちやすい」「飲みきれる」 不利益をメリットに言い換えて炎上
似たような騒動は過去にも起きている。
2016年、明治は「明治おいしい牛乳」の新容器を発表。従来の1リットルから900ミリリットルへ容量を減らしたが、価格はほぼ変わらなかった。
同社は容器を小さくして「子どもや高齢者でも持ちやすくした」ことや、「最後までムダなくおいしく飲むことができる内容量」であることをアピール。これに対して、ネット上では「説明がセコイ」「素直にコスト高って言えばいいのに」などと批判が起きた。
江崎グリコのデザート飲料「ドロリッチ」は、17年のリニューアルで180グラムから120グラムへ減量。価格は据え置きで"サイレント値上げ"と見る向きもあったが、担当者は女性を意識した商品開発を強調し、「女性でも飲みきれる量」にしたと説明していた。これにも大きな批判が起き、18年には内容量を180グラムに戻したものの、翌19年に生産終了となった。
20年にはネスレ日本の「キットカット」も価格を変えずに小型化。標準的な「キットカットミニ」は1枚11.6グラムから9.9グラムに減った。同社は「従来の製品サイズが大きすぎるのでは」という消費者の声があったとして、カロリーなどを気にする人でも気軽に食べられる一口サイズに変更したと説明したが、これもネット上では否定的な意見が飛び交った。
批判が影響したのかは不明だが、同社は21年に「キットカットミニ」の1枚当たりの重量を11.6グラムに戻している。
批判が起きた事例は、いずれも消費者にとっての不利益を、利便性や健康への配慮といった言葉で覆い隠そうとしているように見えてしまう点が共通している。
ガリガリ君、うまい棒、薄皮シリーズには称賛...何が違ったのか
一方、値上げ発表が好意的に受け止められた企業もある。
赤城乳業は16年、人気アイス「ガリガリ君」を25年ぶりに60円から70円(税別)へ値上げ。その際、社員100人以上が一斉に頭を下げる「おわびCM」を公開した。「25年間踏んばりましたが」というメッセージとともに値上げを伝える姿勢が話題となり、応援や称賛の声が相次いだ。24年に70円から80円へ引き上げた際には、社員たちがさらに深く頭を下げる謝罪広告を展開した。
やおきんの人気スナック「うまい棒」は、22年に、発売以来初めて10円から12円に値上げ。24年には、15円(いずれも税別)に価格改定した。同社は原材料費や人件費などの高騰で企業努力が限界に達したことを真摯に説明し、消費者への感謝や理解を求める言葉を発信。SNSでは「今までこの値段で販売してくれてありがとう」「20円になっても全然買う」といった好意的な反応が広がった。
また、山崎製パンの「薄皮シリーズ」は23年に価格を据え置いたまま5個入りから4個入りへ変更したが、購入者が新旧の商品を比較したところ、パン1個当たりの重量が増えていることが判明。パンの具材が増量されており、シャウエッセンと似た変更だが、企業側がメリットを大々的にアピールするのではなく、消費者が発見したことが好意的な反応につながったと考えられる。
実際、ネット上では「隠れた企業努力、素晴らしい」などと称賛の声が集まった。
物価高の昨今、値上げや減量が避けられない事情は、消費者にもある程度は理解されている。シャウエッセンの発表は「正直に伝えます」という言葉で始まっていたが、消費者が求める「正直さ」は、単に内容量削減を公表することではない。デメリットを都合のいい言葉で飾るのではなく、包み隠さず「正直」に説明した方が好感を得られやすいのだろう。