「予算カット」発言で渦中の簗和生農水相が、四面楚歌の状態だ。地元では横柄な言動を繰り返していたことが報じられ、与党内からも突き放される始末。それでも続投させようとする高市早苗首相の責任と判断力が問われる事態に発展している。「クソみたいな質問をしてくる記者」発言は「明確に覚えていない」簗氏は2026年5月に地元の栃木県で開かれた会合で、那須烏山市と那珂川町の道路予算を「大幅にカットしました」と発言した。2月の衆院選では、両市町の首長は対立候補だった保守系無所属の渡邊真太朗氏を応援していた。実際に両市町とも、国交省からの交付金は減っていた。簗氏は10月2日、説明を二転三転させながらも「誤解を招くような言いぶりだった」と釈明した。だが、その後も反省しているのか疑われる言動が発覚。10月3日に熊本地震の被災地を視察した際、地元自治体の首長らに「クソみたいな質問をしてくる記者を連れてきちゃいまして、すみませんね」と発言していたと週刊文春が報じた。簗氏は10月9日午前の記者会見で、「明確に覚えていないが、会見の場で私の個人の政治活動に関することで時間が取られてしまったことに対して、申し訳なかったですねという趣旨」と苦しい釈明を展開した。渦中の簗氏はこの日、地元の栃木県で開かれた自民党の政治資金パーティーを欠席。出席した高橋克法参院議員は「総じて皆さん否定的だよね。やっぱり政策よりも性格だな」と報道陣に語り、簗氏を暗に批判した。テレビ朝日系の報道番組「サタデーステーション」は、簗氏が秘書のことを人前で「おまえ」呼ばわりしていたとする証言を報じた。番組内では地元の自民党員が「秘書が次々辞めていく状態もあった。後援会長や幹事長の話も全然聞かないし、自分に意見されると、ぷいっと横向いちゃってね」と語っていた。ライバルの選挙カーから「共に頑張りましょう」→「てめえふざけるな」10月10日放送の日本テレビの報道番組「追跡取材newsLOG」では、問題の「予算カット」発言の別の部分を報じた。簗氏は衆院選で対立候補だった渡邊氏の選挙カーから「共に頑張りましょう」と声をかけられた逸話に言及。「『てめえふざけるな』じゃないですか」と語り、会場の笑いを誘っていたことが新たに判明した。番組で元事務所関係者は「一生懸命みんなで応援した。だけど1人1人だんだん離れていって」と証言し、地元での人望の乏しさが暴露され始めている。自民党と連立を組む日本維新の会の吉村洋文代表は10月9日、簗氏の言動について「権力に直接関係するような言動でもある。明らかに不適切だ」と記者団に述べた。石破茂前首相も10月11日、鳥取市内で報道陣に対し「国会議員である前に、政治に携わる者としてかなり疑わしいと言わざるを得ない」と断じた。地方自治体に対する高圧的な言動で批判を浴びた閣僚として、旧民主党政権の松本龍復興相を思い出す声がある。東日本大震災が起きた11年、岩手県や宮城県の知事に「知恵を出さないやつは助けない」「ちゃんとやれ」などと命令口調で話し、取材していた報道陣には「今の言葉はオフレコ。書いたら、その社は終わりだから」と圧力をかけた。この松本氏は批判を受けて就任9日で辞任。自民党政権でも、22年11月に「死刑のはんこ押す時だけニュースになる地味な役職」と発言した葉梨康弘法相、25年5月に米価が高騰する中で「コメ買ったことない」「売るほどある」と発言した江藤拓農水相など、失言による閣僚辞任劇は繰り返されてきた。26年2月の衆院選では「とにかく私の大事なやなちゃん。私の知恵袋のやなちゃん。いなかったら大変、本当に大変です」と応援していた高市首相。10月8日には衆院本会議の代表質問では「『とにかく働いて仕事で返せ』と言っております」と述べ、更迭しない考えを明言した。タレントのデーブ・スペクター氏は自身のX(旧Twitter)に「流行語大賞が決定→私の大事なやなちゃん」と投稿し、ギャグのネタにした。これには「意地悪やなぁ」「2年連続、高市早苗か」「どこで流行してるの、やなやつ」などと大喜利のような反応が見られる。「予算カット」発言後にも次々と出てくる簗氏の悪評を、高市首相がどこまで庇い続けることができるのか。まだまだ問題は尾を引きそうだ。
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