オンライン宿泊予約サイト「Agoda(アゴダ)」を巡り、宿泊施設や利用者から不信の声が上がっている。同サイトについては、予約したはずの部屋が確保されていない、予約情報が宿に届かないといったトラブルが相次ぎ、観光庁が2025年3月に改善を要請。Agoda側も対策を打ち出したが、1年半以上がたった現在も問題が解決していないことになる。テレビCMでおなじみの大手サービスで、なぜこのような問題が続いているのか。「Agodaと契約していない」ホステルや温泉旅館が相次ぎ注意喚起2026年10月上旬、Agodaでホステルを予約した利用者が、現地に「Agodaと契約しておりません」といった趣旨の張り紙があったとSNSに投稿し、話題になった。宿側は客室が転売される関係でトラブルが起きており、チェックインに必要なコード番号や玄関の解錠番号が利用者に届かないことがあると説明。投稿者は偶然戻ってきたスタッフに助けられ宿泊できたそうだが、改善策が発表されてから1年以上たっても、宿がこうした注意喚起をしているのだ。9月22日には、山形県米沢市の温泉旅館が、「当館の予約にAgodaなど海外サイトを使わないでください」などとSNSで呼びかけた。理由は「当館が直接契約をしていないにもかかわらず、当館の客室が販売されているからです」という。予約情報が宿に届かないほか、部屋タイプや宿泊人数、食事の有無が違う、宿の設定と大きく異なる料金で販売されるなどの問題があるとし、宿泊客の正確な連絡先が分からず、事故や災害時に宿から連絡できない恐れもあると訴えた。宿側は「当館の公式サイトで予約してほしいからではありません」と強調し、じゃらんや楽天トラベルなどの国内サイトでは問題が起きていないとも説明した。東横インが異例の「名指し」注意喚起大手ホテルチェーン「東横イン」は25年6月、公式サイトに「【注意喚起】一部の海外予約サイト(Agoda等)ご利用時のご注意事項」と題した文書を掲載。東横インが提携先の予約サイトに提供した空室が、別の業者を通じて海外予約サイトで転売され、トラブルが続発したという。具体的には、宿泊客が予約してもホテルに情報が届かず部屋を確保できない、予約した日付や部屋の種類が違う、宿泊料金がホテル側の設定より大幅に上乗せされるといった事例があるとし、問題のある海外予約サイトとして「Agoda等」と名指しした上で、トラブルが起きた場合は利用者に予約サイトへの直接の問い合わせを求める異例の対応を取った。同月には星野リゾートの星野佳路代表もSNSで、直接契約のないAgodaで客室が販売され「お部屋の確保ができないケースが頻発している」と指摘。「AGODAのシステムには何らかの問題がある」と不信感を示した。当時、星野リゾート側はJ-CASTニュースの取材に対し、多いところでは年に約300件のトラブルが起きていると説明していた。こうした問題の背景には、客室の複雑な流通経路がある。Agodaは宿泊施設と直接契約した部屋だけでなく、他の旅行会社や仲介業者から仕入れた客室も販売している。例えば、宿が契約先の旅行会社に提供した部屋が別の業者に転売され、最終的にAgodaで販売されるケースがあるのだ。こうした取引では、仲介する業者が増えるほど予約情報の伝達が複雑になり、内容が食い違ったり、宿に予約が届かなかったりするリスクが高まる。問題業者との取引停止、AI監視も導入...それでも解決ならず観光庁は25年3月からAgodaに業務改善を求め、Agoda側は問題が生じた第三者業者経由の客室販売を同6月26日から停止。同7月にはAIによる監視システムや取引先の管理強化を発表し、同10月には不正確な掲載情報や不適切な料金を検知する機能、日本語で24時間対応するサポート窓口などを整えたと報告した。実際に改善したケースもある。星野リゾートは25年11月にAgodaと包括的パートナーシップを締結し、星野代表は26年7月の「観光経済新聞」の対談記事で、直接契約によってシステム上は以前のような大きな問題が起きなくなったと語った。しかし、販売停止は一部の業者が対象で、第三者を経由する流通経路は残っている。また、直接契約した宿では状況が改善しても、契約のない宿では依然として問題が残っている。そのため、現在も宿側が注意喚起しなくてはいけない状況なのだろう。SNS上では「なぜ問題が続くのか説明するべき」「CMをバンバン流すより先にトラブルを解決して」といった声もある。また一部では、日本の省庁が「海外系企業に甘い」ため、根本的な対策が進まないのではないかとの指摘もある。いずれにしても、サイトで「予約完了」と表示されたのに、いざ旅先で「部屋がない」という状況になったら利用者はたまらない。複雑な取引事情があるとしても、利用者に理不尽な不利益を負わせていい理由にはならないはずだ。Agodaは現時点で何が改善され、どんな問題が残るのかを利用者や宿側に丁寧に説明する責任があるのではないか。一方、行政は「対応が甘い」という疑念を晴らすためにも、改善状況を検証し、もし不十分であるなら毅然とした対応を検討すべきだろう。
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