福岡市を拠点に活動するHKT48が2026年10月17日、名古屋市内でコンサートを開いた。全5都市を巡る15周年記念ツアーの一環で、今回の愛知公演が4都市目。地元を拠点とするSKE48の楽曲も織り交ぜながら、グループの歩みを振り返った。
夜公演では、卒業を控える5期生・石橋颯(いぶき)さん(21)の卒業セレモニーが行われた。ツアーは11月26日の福岡公演でファイナルを迎えるが、石橋さんにとっては愛知公演がHKT48メンバーとして最後のコンサートとなった。
4年前のツアーでは、先輩からグループの未来を託される側だった石橋さん。今回は後輩にその未来を託す立場となり、自身の初選抜曲では7期生の龍頭綺音(りゅうとう・あやね)さん(16)とダブルセンターを務めた。
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卒業セレモニーのために制作された黄色の新衣装で、指原莉乃さんの初選抜曲「大声ダイヤモンド」を披露する石橋颯さん。客席もペンライトで黄色一色に染まった -
卒業セレモニーで念願の「くまのぬいぐるみ」を披露する石橋颯さん(中央)。くまの着ぐるみの中から顔をのぞかせ、後輩たちと共演した -
「アボガドじゃね~し...」を披露する石橋颯さん(右)と竹本くるみさん。2度にわたってシングル曲のダブルセンターを務めた同期の2人が共演した -
サプライズで駆けつけた同期に囲まれる石橋颯さん(中央)。本来は出演予定のなかったメンバーも加わり、現役5期生全員がステージにそろった -
「君とどこかへ行きたい」でダブルセンターを務めた石橋颯さん(左)と7期生の龍頭綺音さん。石橋さんにとって初選抜曲となった楽曲を、後輩と手をつないで披露した -
「僕はやっと君を心配できる」でダブルセンターを務める石橋颯さん(左)と竹本くるみさん。井澤美優さんのピアノ演奏に合わせて歌い、竹本が涙で声を詰まらせる場面もあった -
AKB48の「だらしない愛し方」をソロで披露する栗原紗英さん。白い衣装をまとい、存在感を示した -
15周年にちなんだ15曲メドレーで「UZA」をソロパフォーマンスする梁瀬鈴雅さん。力強いダンスで魅了した -
「バケツを被れ!」では客席を巡る場面も。ファンに向けたメッセージを記したバケツを掲げる豊永阿紀さん -
名古屋が拠点のSKE48の楽曲も多く披露された。写真は「ウィンブルドンへ連れて行って」
SKE48楽曲4曲を披露、ソロやピアノ演奏も
HKT48にとって約4年ぶりとなる今回のツアーは、7月の大阪を皮切りに、広島、東京と巡ってきた。開催地ごとに選曲を変えるのも今回のツアーの特徴だ。大阪ではNMB48、広島ではSTU48、東京ではAKB48の楽曲を取り入れた。名古屋ではSKE48の「ウィンブルドンへ連れて行って」「FRUSTRATION」「賛成カワイイ!」「恋を語る詩人になれなくて」の4曲を披露した。
メンバー個人の見せ場も随所に用意された。夜公演では栗原紗英さん(30)がAKB48の「だらしない愛し方」をソロで披露。梁瀬鈴雅(れいあ)さん(20)は15周年にちなんだ15曲メドレーで「UZA」をパフォーマンス。ダンスで観客を魅了した。
一方、「僕はやっと君を心配できる」では、井澤美優さん(20)のピアノ演奏に合わせ、ダブルセンターを務める石橋さんと同期の竹本くるみさん(22)が歌唱。竹本さんが涙を流す場面もあった。
石橋さんは18年にHKT48の5期生として加入した。明るく天真爛漫なキャラクターで親しまれる一方、ステージではグループを引っ張る存在へと成長。シングル曲「バケツを(かぶ)被れ!」「僕はやっと君を心配できる」では、ともに竹本さんとのダブルセンターを務めるなど、近年のHKT48を代表するエースの一人として活躍してきた。
念願の「くまのぬいぐるみ」実現、「ジワるDAYS」イントロでは感極まる
夜公演の終盤、「大人列車」を披露した後、石橋さんの卒業セレモニーが始まった。
まず披露したのは、本人が以前から希望していたAKB48の「くまのぬいぐるみ」。大きなくまの着ぐるみの中から石橋さんが顔をのぞかせ、くまのイラストが描かれた衣装を着た後輩たちとともに、愛らしいステージを繰り広げた。
続いて、黄色を基調とした新衣装に着替え、「大声ダイヤモンド」をソロで披露。新衣装については、フリルをたっぷり使ったスカート、大きなリボン、ベレー帽、チェック柄など、自ら細かく要望を出して「めちゃくちゃかわいい、キラキラの衣装」が完成したことも明かした。
ここには、石橋さんが尊敬する指原莉乃さん(33=19年卒業)への思いも重なる。2人が同じグループで活動した期間は長くないものの、「大声ダイヤモンド」は指原さんにとって初めて選抜入りしたシングルだ。続いて披露した「アボガドじゃね~し...」は、渡辺麻友さん(33)と指原さんによるデュエット曲で、今回は石橋さんと竹本さんが歌った。
9月の東京公演でも、石橋さんは指原さんが卒業時に着た衣装をまとい、指原さんの楽曲「Get you!」を披露していた。今回の卒業セレモニーで披露した「ジワるDAYS」も指原さんの卒業シングルだ。さらに、石橋さんのペンライトカラーは指原さんと同じ黄色。客席が黄色一色に染まる中、石橋さんも黄色のドレスで最後のコンサートのステージに立った。
そして「ジワるDAYS」のイントロが流れると、客席からは「おー!」という歓声が上がった。石橋さんは歌い出しで感極まり、涙で声を詰まらせた。その直後、ステージには同期のメンバーがサプライズで登場した。
本来は愛知公演に出演する予定がなかった栗山梨奈さん(25)と田中伊桜莉さん(24)も駆けつけ、石橋さん、市村愛里さん(25)、竹本さんと合わせて、現役の5期生5人全員がステージに集結した。
その後のMCで栗山さんは、当初は出演できない予定だったため、石橋さんの卒業セレモニーを見届けようと、自腹でも名古屋まで出向くつもりだったと説明。しかし、石橋さんと同期ということで所属事務所が交通費や宿泊費を負担してくれることになり、出演も実現したと明かした。
初選抜曲で7期生とダブルセンター 4年前とは逆の立場に
そして、セレモニーの締めくくりに選ばれたのが、HKT48の14枚目シングル「君とどこかへ行きたい」だった。
21年に発売されたこの曲は、石橋さんにとって初めて選抜入りしたシングル。今回の公演では、石橋さんと7期生の龍頭さんがダブルセンターを務め、出演メンバー20人全員で披露した。ステージ上では2人が手をつないで歌う場面もあり、石橋さんは間奏部分で
「ファンの皆さんとメンバーのみんなと過ごした時間は私にとって一生の宝物です」
と話した。
この光景は、HKT48が進めてきた世代交代の歩みとも重なる。22年11月、約4年ぶりに行われた前回ツアーの最終公演では、当時の先輩メンバーから若手へと未来を託す演出が行われた。石橋さんは、グループの未来を受け継ぐ側の一人だった。
それから4年。多くの先輩の卒業を見送り、グループの中心を担うようになった石橋さんは、今度は後輩に未来を託す立場になった。
後輩を「後押しするような、支えられるような存在になれていたら」
かつては先輩の背中を追いかける立場だったが、先輩たちを次々に見送る中で、自分たちがグループを支えていかなければならないと感じるようになった。
一方、今では自身も先輩となり、頼もしい後輩が数多くできた。石橋さんは、「この背中を後押しするような、支えられるような存在になれていたらいい」と思いを語った。
石橋さんは11月3日に行われる卒業公演をもって、正式にグループを離れる。HKT48は7月26日に福岡市のみずほPayPayドーム福岡に隣接する商業施設「BOSS E・ZO FUKUOKA」にあった専用劇場の営業を終了。移転先の「010 BUILDING」(同市博多区)の新劇場は開業が遅れているため、卒業公演は同市中央区大名のライブハウスを借りて開催される。
ツアーの最終公演は、石橋さん卒業後、劇場公演スタートから丸15年の11月26日に行われる福岡公演だ。石橋さんは「私も皆さんと同じようにファンの方の一員となって、メンバーのことを笑顔で支えていけたらいい」。福岡公演は関係者席からファンの一員として、ステージを見届ける考えだ。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)