「ダメだと分かっていてもやってしまったのではないか」
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は16日の取材に対し、一連の問題について、「看護師が入院中の患者のストレスを一手に引き受ける勤務環境になっている。そこにSNSが介在し、脊髄反射的に撮影し投稿してしまったのだと思います」とみる。
井上氏は26年に2回入院した。それぞれ別の病院だったが、どちらの病院でも看護師に強く当たる患者が多かったという。
向かいの病室では、高齢の男性患者が四六時中ナースコールを押し続けていた。だがその用件は、以前にも操作方法を教わったベッドの角度の調整などだったという。井上氏は「構ってほしいというか単なるわがままなんです」と話す。
井上氏と同じ病室には、食べ物を手づかみで食べてベッドや床を汚してしまう患者もいたという。こうした対応に職員の時間が取られ、ほかの業務が後回しになっている、と井上氏は指摘する。
「こうした環境で働いているため、(ストレスが不適切なSNS投稿という形で)ストレートに出ちゃったと思うんです。もちろん悪いことをしていると思うんですけれども、同情する部分もあるんです」
一連の問題では、若い世代の情報リテラシーの低さを指摘する声も上がっている。だが井上氏によれば、20代前半は高校で情報の授業を受け、身近な人がフィッシング詐欺に遭う事例なども見聞きしている。そのため「それなりにリテラシー持っています」と話す。
井上氏は改めて「分かってないわけではない。ダメだと分かっていてもやってしまったのではないか」と強調した。限定公開の投稿が外部に転載される事例も知識としては知っているが、それでも「まさか自分が」と考えてしまうという。
では、どうすれば防げるのか。再発防止のための研修などに対し、「こうした意識面の話は十分に分かっている人が多いと思う」と井上氏。スマートフォンを物理的に持ち込ませないことが最も効果的だと指摘する。
井上氏が入院した病院では、医療従事者は私物のスマートフォンは病棟内に持ち込めず、支給された端末でやり取りをしていたという。「病院を出るまで私物の端末を使っちゃダメという規則になっていると聞きました。多分こういうやり方が一番手っ取り早いし、効果的だと思います」