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100年企業目指すには「社員の健康」が最重要! 「和と挑戦」を目指して(富士電波工業株式会社 横畠俊夫社長)

   健康経営優良法人の認定を目指す企業経営者にヒントを――。そんな思いのもと、連載中の「健康経営のススメ!」。

   これまでに認定を受けた企業や、積極的に健康経営を推進している企業の先進事例のほか、コロナ禍で社会的課題となった従業員のストレス対策として、産業医のアドバイスを有効活用する企業の事例など、できるだけ具体的なノウハウに焦点を当てている。

   第9回は、大阪府大阪市淀川区に本社を構える富士電波工業株式会社。従業員は135人。経済産業省の健康経営優良法人2022ブライト500に認定された。代表取締役社長の横畠俊夫(よこはた・としお)さんに聞いた。

  • 高度な加熱技術に強みを持つ富士電波工業の「健康経営」に迫る!
    高度な加熱技術に強みを持つ富士電波工業の「健康経営」に迫る!
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健康活動を促す「健康目標カード」を各自で作成!

――健康経営を導入したきっかけを教えてください。

横畠 俊夫社長「当社は2018年の創業70周年記念式典で『100年企業を目指す』と宣言しました。長年にわたり製造業として事故予防の観点から、労働安全衛生法の法令遵守と作業環境の向上に重点を置いてきました。これからは健康経営の目的である社員の健康増進と生産性向上の相乗効果を得られるよう、コミュニケーションの促進や病気になっても安心して働き続けられる制度の拡充にも注力していきます。それが少子高齢化のわが国でものづくりに貢献し続ける100年企業の必須条件だと考えています。

最初に健康経営について、経営戦略会議の議題に上がったのが2016年でした。雑誌で健康経営の特集記事を読んだ相談役から示唆を受け、安全衛生委員会で議論をしたことから始まりました。
その後、生活習慣病予防の標語募集や個人別の健康目標設定を呼び掛けるなど、地道な取り組みが始まりました。健診項目に胃透視も追加しました。
その後、2018年になって、取引先が優良認定を取得したこと、また、認定が就活生に注目されていることを知り、健康増進活動の推進には認定制度が有効かも? と感じていたのです。そして、昨年(2021年)、アクサ生命のサポートを通じて健康宣言を発表し、優良法人認定を申請し、無事取得することができました」

――「健康目標カード」で健康管理を行っているそうですね。

横畠社長「社員の健康活動を促すために、『健康目標カード』を各自で作成して、宣言してもらっています。最初は個人情報なので、取り扱いについて反対意見も多く、社内に公表しないことで合意を取り、制度として続けていました。そして、優良認定取得を契機に、今年(2022年)からは全社員が互いに励まし合って参加できるように目標を開示することにしました。個人でもグループでもOKとし、目標管理にアプリを使用することも認め、できることから始めてもらっています。会社としても、参加率が上がるような手当や賞品等の支援策を考えて続けたいと思います」

運動機会の増加と食事習慣の見直し!

――ほかにも会社として、メタボリックシンドローム該当者の5%削減を目指していますね。

横畠社長「健康増進活動の具体的な目標として、メタボ該当者数の削減を掲げています。そこで、運動機会の増加と食事習慣の見直し策に取り組んでいます。運動機会増進では長年続けている始業時のラジオ体操、午後にストレッチタイムを設けた体操を実施しています。食事内容の改善では、従業員からアンケートを取って、昼食弁当の見直しを実施しました。野菜中心のヘルシー弁当や、量の少ないお弁当を導入しています。コロナ禍が終息したら、ハイキング等の健康イベントの開催や、専門家の方を講師に招いた健康セミナーも企画していきたいです」
「和と挑戦」を経営理念に掲げる富士電波工業
「和と挑戦」を経営理念に掲げる富士電波工業

――ワークライフバランスについては、どのように気を配っていますか。

横畠社長「装置の設置工事を伴う業務の都合上、出張工事で休日出勤が多い社員もいますが、振替休日とともに有給休暇を確実に取得させています。有給休暇の取得率も平均70%以上と高く、なかには土日祝と合わせて10日程度の連休を取る社員もいます。業務の繁閑を上司が把握して仕事の割り振りに気を配り、残業についても総時間規制は徹底しています。原価意識も向上し、付き合い残業は皆無になりました。なお、メンタルヘルス予防策についてはストレスチェックを実施しているものの、これからの課題です。ハラスメント防止とともに産業医やかかりつけ医の先生とも連携を密にして、対処していきたいと思っています」

――ありがとうございました。

【会社概要】
富士電波工業株式会社
代表取締役社長 横畠俊夫さん

当社は昭和23年(1948年)の創業以来、工業用電気加熱の技術によって、我が国のものづくりの発展とともに歩んで参りました。とりわけ、祖業である高周波誘導加熱炉では高度成長時代の金属工業の増産に、そして、ファインセラミックス向けの超高温炉やホットプレスでは「電子立国」時代の半導体産業の興隆に寄与いたしました。また、自社製の高周波誘導炉を用いた特殊鋼鋳造事業も長年営んでおります。そして今、環境の時代を迎えエコカーの主要部材の生産に当社の熱技術が活かされています。
時代が移り変わっても、お客さまとともによりよい製品を実現し、実験室から量産工場まであらゆる場面でお役に立てるよう、困難な加熱条件に挑み、試行錯誤を繰り返しつつも誠実に取り組む姿勢は変わりません。
これからも当社は、相談し甲斐のある専門家集団として加熱に関するご要望にお応えするとともに、お客様に当社の高温加熱技術をご利用いただくことを通じて持続可能社会の実現にも貢献していきます。

・本社所在地   大阪府大阪市淀川区新高
・主な事業内容  工業用電気加熱装置開発・製造・販売
・従業員数    135 名(男性:122名・女性:13名)
・健康経営優良法人 2021(中小規模法人部門) 認定
   http://www.fujidempa.co.jp/