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「年収が夫の2倍に...彼のプライド傷つけそう」成果報酬でバリバリ稼ぐ女性の投稿が炎上気味、「隠すべきか」「伝えるべきか」で賛否...専門家に聞いた(2)

「年収が夫の2倍になりそう。夫のプライドを傷つけずにすむ方法ってある?」

   そんな悩みを訴える女性の投稿が炎上気味だ。女性は成果主義の企業で働く専門職。夫は年功序列型企業で働くサラリーマン。年収の差がどんどん開く一方だという。

   「男はプライドの生き物。金額を言ってはダメ」という意見と、「自分に誇りを持って堂々と言おう」という意見で賛否がわかれる。

   仕事ができる妻の前に「夫のプライドの壁」が立ちはだかり、問題をややこしくしている。専門家に聞いた。

  • 年収のことを夫に話すかどうかで悩みが…(写真はイメージ)
    年収のことを夫に話すかどうかで悩みが…(写真はイメージ)
  • 年収のことを夫に話すかどうかで悩みが…(写真はイメージ)

10年後も多い「夫がメインで働く」という考え方

   <「年収が夫の2倍に...彼のプライド傷つけそう」成果報酬でバリバリ稼ぐ女性の投稿が炎上気味、「隠すべきか」「伝えるべきか」で賛否...専門家に聞いた(1)>の続きです。

――「仕事で成果を認められたのに、その喜びを夫と分かち合えず、内心寂しい思いをされている」というご指摘、たしかにそのとおりですね。背景には、共働き夫婦の間で妻のほうが夫より年収が高くなった(それも2倍に!)という問題があります。
このような夫婦間の「逆収入格差」といったテーマの調査を、川上さんが研究顧問をされている、働く女性の本音を調べる「しゅふJOB総研」で行なったことがありますか。

川上敬太郎さん「仕事と家庭の両立を希望する主婦層に、『いまから10年後の未来を想像した時、夫婦のワークスタイルとして増えそうなのはどれだと思いますか』と質問したことがあります。

◇10年後の日本、仕事と家庭の両立を希望する主婦はどう見ているか?

その結果、最も多くの人が選択したのは『夫婦対等に共働き』で約6割でした。その一方で、『夫が中心になって働き、妻が補助的に働く』が約3割。『妻が中心となって働き、夫は補助的に働く』は約4%。『妻が働き、夫は専業主夫』に至ってはわずか約2%しかいませんでした。
いまは夫がメインで家計の担い手となっているご家庭が多いと思いますが、10年後の未来を想像した場合でも、妻のほうが家計の担い手としてメインになるケースは少ないようです」

「夫のプライドを考えると、隠しておくことも優しさ」

傷つくプライド(写真はイメージ)
傷つくプライド(写真はイメージ)

――投稿者の場合は、年収が夫の2倍ですから、まさに大黒柱として家計を支えています。調査結果を参考にすれば、このスタイルは、10年後でも少数派ということになりますね。

川上敬太郎さん「投稿者さんの場合も、決してご自身が家計を担うメインになるつもりでいるわけではないのかもしれません。もしも、夫のほうは自分が家計のメインを担うつもりでいるとしたら、妻である投稿者さんとしては、ご自身の収入のほうが多くなってしまっていることに、どうしても戸惑いを感じてしまうのだろうと思います」

――そこがポイントですね。回答者から出た「キーワード」で一番多かったのが「男のプライド」です。「男はプライドの生き物だから、何も自分から金額を言う必要はない。傷ついてすねたりするとややこしくなる。隠しておきましょう」という意見がとても多かったです。

川上敬太郎さん「夫のプライドを傷つけずに済ませることを考えると、隠しておくことも優しさだと思います。ただ一方で、投稿者さんは『黙っているのも後々バレたら問題になりそう』と心配もしています。
細かい金額までは言わなくてもよいのかもしれませんが、隠していたことが後々大きな問題へと発展してしまう可能性があるのであれば、最初から包み隠さず話したほうが良い場合もありえるだけに、悩ましいところだと思います」

「妻の高収入が発奮材料になり、愛が深まるかは夫次第」

年収のことを伝えたら、夫の発奮材料になるか?(写真はイメージ)
年収のことを伝えたら、夫の発奮材料になるか?(写真はイメージ)

――お互いに年収は非開示にして、毎月いくらずつ家計に入れるかを決めておくとよいというアドバイスがありました。残りの金額は、それぞれが貯蓄したり、投資したり、自分で管理するという、かなり割り切った方法です。

川上敬太郎さん「互いの年収を開示しなくて済ませる方法としては良いと思います。しかし、夫は投稿者さんの年収額自体を気にしている可能性もあります。その場合は、根本的な解決策にはならないのではないでしょうか」

――2番目に多いのが、「どうせわかることだし、正直に堂々と言うべきだ」という意見です。「むしろ、夫に対する発奮材料になるし、『いい夫』ならあなたを見直して、さらに愛が深まるでしょう」と勧める声もありました。

川上敬太郎さん「投稿者さんが『黙っているのも後々バレたら問題になりそう』と言っているように、隠し通そうとしても却って事態がややこしくなるなら、思い切って言うべきという考え方もわかる気がします。
しかしながら、発奮材料になったり、さらに愛が深まったりするかどうかは夫の受け止め方次第なので、希望的観測の域を抜けないようにも思います」

妻のフォロー「あなたの支えがあるから、頑張れているのよ」

家計を折半にするのもアイデア?(写真はイメージ)
家計を折半にするのもアイデア?(写真はイメージ)

――たしかに難しいですね。投稿内容にも「夫は自分の収入が私より少ないことに引け目を感じている様子です」とありましたからね。そこで、あまり喜んで話すと夫のプライドを傷つけるので、「淡々と感情を交えずに話すべきだ」という意見がありました。

川上敬太郎さん「仮に、夫が投稿者さんの年収額に嫉妬してしまうようであれば、話し方に気をつける必要はあるのだと思います。ひょっとすると、夫は年収額を人の価値と結びつけてしまうタイプで、自分の年収が投稿者さんの半分だと知るとひどく落ち込んでしまうという可能性もあるのかもしれません。
ただ、投稿者さんの年収が増えているのは投稿者さんが頑張って成果を出した表れでもあります。それならば思い切って、夫にも一緒に喜んで欲しいという投げかけをしてみるのも一つの方法として考えられるようにも思います」

――その場合は、フォローが大事だというアドバイスがいくつかありました。投稿者と同じく夫より年収は上の女性からは、夫は「何があっても大丈夫だね」と一見、ノホホンと受け止めてくれたが、本音は何を考えているかわからないので、「あなたの支えがあるから、頑張れているのよ」とフォローしたそうです。みんな、ずいぶん気を使っているようです。

川上敬太郎さん「夫のプライドが問題なのであれば、そういった気遣いも大切なのだと思います。ただ、投稿者さんとしては一所懸命に仕事を頑張って得られた評価です。それは本来とても喜ばしいことであるはずなのに、夫の顔色をイチイチうかがわなければならないというのは窮屈なようにも感じてしまいます」

   このあとも、川上さんのアドバイスが白熱します――。<「年収が夫の2倍に...彼のプライド傷つけそう」成果報酬でバリバリ稼ぐ女性の投稿が炎上気味、「隠すべきか」「伝えるべきか」で賛否...専門家に聞いた(3)>にまだまだ続きます。

(福田和郎)