坂本龍一が追求した「設置音楽」を幅26.4mの巨大スクリーンで体感 「AMBIENT KYOTO」が東京初開催

「アンビエント」をテーマに、音、アート、空間による体験を提案する展覧会「RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO – TOKYO」が、東京・麻布台ヒルズギャラリーで開催されている。開幕前日の8月27日にはプレス内覧会が行われ、アーティストの高谷史郎氏が作品について語った。

本展で展示されているのは、世界的音楽家・坂本龍一氏が2017年に発表したアルバム『async』をベースに、高谷氏の映像と音響ディレクター・ZAK氏による立体音響で構成したインスタレーション作品。坂本氏が追求した「音を空間に立体的に設置する」という、設置音楽の構想を具現化した。

同作は2023年の「AMBIENT KYOTO」で発表され、約3カ月で約5万人を動員。その後も会場に合わせて再構成され、展示されてきた。東京展では、京都で発表された際と同等のオリジナルスケールとなる幅26.4メートルの巨大スクリーンを設置している。

高谷氏は「今回は大きな空間で一つの作品だけを展示しているので、オリジナルのサイズでもう一度展示できることを、僕としてはすごくありがたいと思っています」と話した。

音響は、東京会場のために再設計された。『async』のサラウンドサウンドファイルなどをもとに、坂本氏の晩年の作品を数多く手掛けたZAK氏が、麻布台ヒルズギャラリーの空間に合わせて音を配置した。

スマートフォンやイヤホンで音楽を聴くことが一般的になった現在、大空間で音楽を体験する意味について、高谷氏は「坂本さんが考えられていたのは、空間の中の響きを聴くということだと思う」と説明。「本当に1メートルも変われば全然音が変わりますし、顔の向きを変えるだけでも全然違う」と、会場内を動きながら音を体感する楽しみ方を提案した。

映像には『async』のアートワークのために制作されたものや、高谷氏が坂本氏とさまざまなプロジェクトに取り組む中で印象に残った映像などを使用。約1時間、全14曲の音楽と2時間弱の映像素材が完全には同期せず、それぞれ変化しながら展開していく。

『async』というタイトルについて高谷氏は、坂本氏が「音の中の時間の揺らぎのようなものを捕まえることを考えていたのではないか」と推察。同じタイムラインで流れる音でも、鑑賞者の場所や向きによって聞こえ方が変わることを「僕にとっても衝撃的というか、すごく感動的な体験」と表現した。

また「async – immersion」は、音や映像だけで完結する作品ではないという。高谷氏は「鑑賞者の方がここに来られることで、坂本さんの音をこの空間の中で体験し、記憶の中から何か引っ張り出される。そういうことが起こることによって、初めてインスタレーションとして成立するんです」と語った。

「async – immersion」は坂本氏の死後に制作されたため、完成した作品を本人が体験することはかなわなかった。高谷氏は、今回の展示に携わったスタッフが「坂本さんに捧げるような気持ち」で制作に取り組んだと明かし「多くの方に来ていただいて、ゆっくり鑑賞していただけるとありがたい」と呼びかけた。

「RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO – TOKYO」は、10月25日まで、麻布台ヒルズギャラリーで開催される。

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