2024年 3月 19日 (火)

日本とはちょっと違う フランスの新聞崩壊事情

   フランスでも日本同様、新聞の販売部数減や新聞社の経営不振が問題になっている。ただ、その原因は、活字離れによるものではなさそうだ。

無料新聞に押され気味、一般紙の対応策は?

駅構内に設置された無料新聞のラック
駅構内に設置された無料新聞のラック

   2008年の日刊紙に関する統計報告を見ると、「毎日、少なくとも新聞一紙に必ず目を通す」と答えた人は2430万人、これはフランスの15歳以上の人口の48.6%にあたり、前年度よりも2.3%増えているというのだ。ただ、最も読者数の多い日刊紙は、地下鉄駅構内などで配布される無料新聞の「20 Minutes」(2007年度比4%増)、2位がスポーツ新聞の「L'Equipe」(1.6%増)、3位はこれまた無料新聞の「Metro」(2.7%増)。つまり、無料新聞に押され気味の、有料一般新聞の不振ととらえた方がよさそうだ。

   さて、この売り上げ不振の打開策だが、フランスには新聞の宅配制度が存在せず、自宅に届けてもらいたい人は、郵便による定期購読を利用する。各新聞社ともこの定期購読者を増やすべく、契約時にデジカメやエスプレッソ・マシンをプレゼントしたり、購読料を最大50%オフにするなどのサービス合戦を繰り広げている。

   一方、駅売りに関しては、日刊新聞社14社とパリ交通公社が提携し、新聞の呼び売り部隊を組織。昨年9月から利用者数の多いパリ市内の11の駅で、売り子(なぜか年配の男性ばかり)たちが、通勤客をターゲットに有料紙を即売している。駅構内に設置されたラックから無言で無料紙を取っていく人々を横目に、声を張り上げ新聞を売るこの呼び売り部隊は、それなりの成果をあげている、と聞く。

   さらに、政府レベルでは、今年1月にサルコジ大統領が、18歳の誕生日を迎えた全てのフランス人が1年間、無料で好きな新聞を購読できる制度を作る、と発表。若者の新聞離れを防ぎ、新聞社を救済する一石二鳥の効果がある、と力説した。


【プロフィル】
江草由香(えぐさ ゆか)
フリー・編集ライター。96年からパリ在住。ライターとして日本のメディアに寄稿しながら、パリ発日本語フリーペーパー『ビズ』http://www.bisoupfj.comの編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。趣味は映画観賞。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!