フライド・プライド(FRIEDPRIDE)フォー・ユア・スマイルVICJ-616473150円2月2日発売Victor日本の女性ジャズ・シンガーというと、1970年代頃から、「美人シンガー」でなきゃといった流れがあったような気がする。と同時に、なにか女性的なたおやかさを持った声が主流だったとも思う。たとえば日本を代表する女性ジャズ・シンガーである阿川泰子のような。それが21世紀に入ると、多くの個性的なシンガーが登場してきた。綾戸智恵のような「なにもそんなところにこだわらんでも良かろう」という流れもできてきた。雰囲気で流れていくような歌ではなくて、溝口恵美子、仲宗根かおるらのような、はっきりとした主張が垣間見える歌こそ「ジャズ」!的な感じでしょうか。ジャズ・ヴォーカルの新たな境地へそんな中、2001年にアメリカの名門ジャズレーベル「コンコード」から、『FRIDEPRIDE』でアルバムデビューしたフライド・プライドは、当時の印象としては、まったく新しいジャズ・ヴォーカルの地平を拓いて見せたという気がしていた。まず、フライド・プライドというユニットのユニークさ。ギターとヴォーカルというライヴ可能な最小の単位で、しかもそれがすべて。レコーディングに参加するミュージシャンはいるけれど、基本はエラ・フィッツジェラルド+ジョー・パスのように、ヴォーカル・shiho+ギタリスト・横田明紀男の二人。それでありながら、作り出される世界観は豊穣で、唯一無二。とくに、shihoの歌声は、それこそ一度聴いたら忘れられない類いの声、そしてヴォーカル・テクの確かさといったら。横田のいわゆる超絶技巧ギター・テクにも、驚かされ舌を巻く。Barで心地よく流れるBGMのように?そして、コンスタントにアルバムを出し続けて、通算8枚目のこのアルバムが『フォー・ユア・スマイル』。これがまた、これまでの7枚と趣が異なり、大スタンダード大会。でも、それが良いのだ!「Barで心地よく流れるBGMのような作品を作りたくて、肩の力を抜いて歌いました。聴いてくれた方に自然とSmileがこぼれますように♪」とはヴォーカルのshiho。彼女はそう言うけれど、聴く側としてはBGMを聴くようには、肩の力は抜けない。キチンと語りかけてくる歌声にハッキリと反応してしまうのだ。ギタリストの横田は「スタンダードに対峙する上で問われるのはアーティストの人間性や哲学。誰にも似ていない『You'dBeSoNiceToComeHomeTo』や聴いたことのないアレンジの『ANightInTunisia』など、フライド・プライドのものとなった楽曲に触れてほしい」と言っている。むしろ、こちらの引き受け方をせざるを得ないだろう。まずは一聴に値する名盤!【フォー・ユア・スマイル 収録曲】1.ドント・レット・ミー・ビー・ロンリー・トゥナイト2.ガール・トーク3.チュニジアの夜4.愛ある限り5.オンリー・ユー6.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ7.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー8.ワン・ノート・サンバ9.ソー・イン・ラヴ10.二人でお茶を11.BAD12.恋愛PUZZLE(ホエン・ウィ・セイ・グッバイ)13.ラズマタズ14.スマイル
記事に戻る