2024年 4月 21日 (日)

「毎日」書評に込められた、地震予知研究「警世」の指摘

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【2012年2月19日(日)の各紙から】

   あとひと月足らずで東日本大震災のメモリアル「3・11」。毎日新聞の「今週の本棚」が、二つの本を通じて地震研究のあり方を問いかけている。

過去の記録に学ぶ/「予知のかけらもない」現状を告発

 『日本人はどんな大地震を経験してきたのか―地震考古学入門』
『日本人はどんな大地震を経験してきたのか―地震考古学入門』

   『日本人はどんな大地震を経験してきたのか―地震考古学入門』(寒川旭著、平凡社新書、840円)には、過去から学ぶことで、地震のおおざっぱな時間やスケールなどを掘り起こそうとする研究の現状がまとめられている。

   地中に刻まれた記録を読み解く学問。著者は大地震の際の液状化現象が地層に残す痕跡に注目し、遺跡発掘や開発工事の際に得られる地中の記録や歴史文書との照合を進めてきた。これまでの著作から「3・11」を念頭に集成したのが、この一冊だ。記された被害と復興の営みに評者・海部宣男氏は「うたれる思いがする」とうなずきながら、「大地震をプレートによる海溝型と陸地中心の活断層型に分けた記述も、見通しがよい」と評価した。

   もう一冊『日本人は知らない「地震予知」の正体』(ロバート・ゲラー著、双葉社、1260円)は、もっと深刻な、差し迫った問題を指摘している。

   著者は米国出身の地球物理学者で東大教授、日本の予知研究を鋭く批判してきたことで知られる。本には、地震行政の驚くべき実態がてんこ盛りだ。「予知はできないと知っているのに」政府の金に群がる予知研究者たちの実態を告発する。

   「地震予知研究」は名を変えながら大規模化し、彼らを潤してきた。しかし、予知のかけらも生んでいない。起きたのは鳴り物入りで警告した東海地震ではなく、警戒されなかった阪神・淡路や東日本の大震災。それでも、こうした予算や研究が存続する裏には、原発の場合とよく似た学・官・政の「地震予知ムラ」があるという。著者は地震研究の意義は認めつつ、国策としての予知研究の廃止を求めている。

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