2024年 5月 5日 (日)

【書評ウォッチ】企業の闇に挑んだ2人 巨額粉飾事件の元社長とジャーナリスト

話題や関心にタイムリーな紹介記事を

   本の中で2人は見聞きした事実を可能な限り時系列を追って、克明に描く。感情的な部分はあるが、事件は本当に終わったのかと問いかける点もよく似ている。銀行や監査法人に責任はないのか、日本全体に同じ問題が起きてはいないかとの不安をぬぐいきれないのは著者2人や評者だけではないだろう。その問題を提起した紹介記事になっている。

   ほかでは、読売が『共喰い』(集英社)で芥川賞をとって話題をよんだ田中慎弥さんについて、読者からの投稿をまとめた。作家本人の原稿も載せた。読者と著者をつなごうという意欲が感じられる。これもある意味、話題や関心に呼応した企画といえそうだ。

   毎日には書評20年の「名作選」を刊行するとの社告。しかし、今の紙面は内容、レイアウトとも新鮮な企画があまりない。少なくともここしばらくは定型を脱せず、タイムリーなニュースセンスも足りない。「名作」「名書評」と1人で叫んでいる感じがする。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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