2024年 5月 2日 (木)

【書評ウォッチ】ネットで広がる現代型デモ 「過去の遺物」が復権したワケ

ケータイ画面の先に広がることば

   ほかには、これもネットの時代を意識した『ケータイ化する日本語』(佐藤健二著、大修館書店)がおもしろい。若者言葉が乱れるといったお説教ではなく、ケータイに象徴されるネット時代の「ことばを用いて公共的な社会を築くことができるのだろうか、という問いだ」と社会学者・鈴木謙介さんが日経で評している。

   本は、電話などを通じて人と話す行為を生理学や哲学を参照に考えていく。するとケータイと言葉のぎこちない関係にいきつくという。メールなどの便利な機能。「だが一方で、ケータイの画面の向こうに広がるネットのことばによって傷つけられたり、デマに踊らされたりする人がいるのも事実」と評者。本の問いを真剣に考えるべきだと強調している。

   たしかに、一部のツイートやコメントには客と偽っての販売PRや、批判を受けた当事者が中立を装って反論を発信するなどチャチな小細工もある。善悪いりまじるネット世界とどう向き合って社会をつくっていくかの問題を「ことば」の意味から考えた一冊だ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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