2020年 8月 9日 (日)

【書評ウォッチ】ダンス規制と必修化 いとうせいこう「踊るという人類的行為を…」

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   気軽に楽しんでいるときに「あれをするな、これはいけない」と他人に言われたら、誰だってたまらない。主に若者向けのクラブをターゲットにした風営法の違反摘発がここ数年、相次いでいる。DJによる大音響の音楽再生と過剰規制の問題を考える『踊ってはいけない国、日本』(磯部涼編著、河出書房新社)が朝日新聞に。「表現の自由を抑制していないか」と問いかける評者は、レッツダンス署名運動の呼びかけ人でもある作家のいとうせいこうさん。ダンスが中学校で必修になる時代に、なんだかアンバランスな現象を、さてどう読むか。【2012年10月28日(日)の各紙からI】

管理下の規律訓練ダンスを指導され

 『踊ってはいけない国、日本』(磯部涼編著、河出書房新社)
『踊ってはいけない国、日本』(磯部涼編著、河出書房新社)

   現在の風俗営業法では、「客にダンスをさせ、飲食させる営業」が規制の対象になっている。これまで運用は比較的緩やかだったが、ここ数年、クラブやライブハウスに対して関西を中心に「どういうわけか一気に厳格化されつつある」という。DJブースやミラーボールにまで警察から警告を受けた店もあり、「なぜ踊ってはいけないのか」と作家や音楽家らがダンス条項の削除を求めて声をあげた。

   本には多種多様な意見が。「あらゆる事柄に行政による抑制を求めるクレージークレーマーが現れ、いわば監視社会を生んでいる」と宮台真司氏。「このままではカウンターのあるバー、小料理屋、スナックにも摘発の手は伸ばし得る」と松沢呉一氏。千葉雅也氏は個々のダンス自体に支配から身体を奪い返す闘いを見る。それぞれが風営法の由来やあり方、時には署名運動の妥当性もふくめて考え、危惧する。

   学校での必修化については、評者のいとうさんも「それは規律訓練であって真のダンスではあるまい」と指摘。「踊るという人類的行為を夜中以外に、管理下で行うよう指導されている」。言われれば、たしかにおかしな話だなーと思うほかない。単なる規制の行き過ぎですませていいのか。どこか不気味な現状と向き合って問題提起する本だ。

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