2020年 8月 8日 (土)

【書評ウォッチ】元高級官僚が組織を批判 「改革できない日本」の改革論

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   「霞が関」「官僚」「エリート」などと呼ばれる中央官庁の局長や次官はどうやって決まるのか。彼らこの国のお偉いさんはいつも当り前のようにそこにいるのだが、実は選考基準も業績評価もはっきりしない。これで市民のための行政改革や公務員制度改革ができるだろうかと問いかける本『なぜ日本は改革を実行できないのか』(川本明著、日本経済新聞出版社)が日経新聞に出た。

   書いたのがこれも高級官僚出身者という哀しい一面はあるけれど、内部の実態を知るからこその的確な批判を期待したい。官僚たちの実行力・経営力不足とリスクを避けたがる体質をついた「改革できない日本」の改革論。【2013年6月2日(日)の各紙からI】

「官僚組織だけでできないことはやらない」

『なぜ日本は改革を実行できないのか』(川本明著、日本経済新聞出版社)
『なぜ日本は改革を実行できないのか』(川本明著、日本経済新聞出版社)

   著者は30年間の国家公務員生活をおくり、そこから「知的誠実さのゆえの指摘」が本書でされたと評者の田中直毅さんが紹介している。庶民感覚的には「東大法学部卒の通産省エリート生活」という方が正確かもしれないが、誠実な問題提起にはちがいない。

   「官僚組織だけでできることはやるが、できないことはやらない」「政治的にリスクのあることは避け、組織の存続を優先する」こんな官僚たちが「改革への経営力に欠ける」というのも、規制改革に取り組んできた人の本心なのだろう。納得できる。

   安倍政権誕生以来、経済再生の機運が高まって、さまざまな組織を立ち上がっている。それぞれの実行力が問われる今、官僚と政治をどう動かすべきかを本は説く。

   たしかに、改革をめざすという掛け声が単に官僚への指示で終わってはいけない。本は改革の基本はトップが自ら設計するほかにないとして政治家の資質を論じる。「政府の経営能力」が重要と語る著者の筆鋒はシャープだ。そこは庶民の影もない「官」と「政」の世界だとしても、この体質分析と改革提言にはタイムリーな価値がある。

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