2020年 1月 28日 (火)

【書評ウォッチ】「一度行ってみたい」旅本来のブラブラ感 ツアーやガイドブックにない魅力探究記

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   ひっそりとして、観光ブームとはおよそ無縁な土地に深い味がある。言いつくされた考え方だが、実際にはどうなのか。『ニッポン周遊記』(池内紀著、青土社)が、独特の視点で各地の隠れた魅力を掘り起こす。

   北海道から沖縄まで30の土地に塗り込められた文化と、垣間見える歴史や人々の表情。紀行文に定評のある著者が地域観察のコツを伝授する。「いちど行ってみたいな」と思える街が見つかりそうな気にさせる一冊だ。【2014年7月27日(日)の各紙からⅡ】

「図書館があるかどうか」

『ニッポン周遊記』(池内紀著、青土社)
『ニッポン周遊記』(池内紀著、青土社)

   「旅名人の名観察、名解説」というのは出版社サイドのPR文句だが、スケジュールすべてお任せのツアーやガイドブックとは違う、旅本来の自由なブラブラ感が読ませる。

   訪問先を選ぶ基準は「経済的に自立」「歴史など由緒あり」「個性がありそう」ということだそうだ。どこまでそう言えるのかとうるさい疑問にこだわりすぎずに探せば、これが結構あるらしいのだ。

   開拓者精神が根づく北海道の森町、「支藩」ゆえの自立志向が伝わる青森県黒石市、利根川の河口で多彩な生活の場となった千葉県銚子市、秘境に独特の文化を育んだ福島県桧枝岐村など。大寺院の境内にある三重県津市の一身田寺内町はユニーク。長野県須坂市や福島県棚倉町では歴史の教訓に学ぶ。沖縄県金武町で民衆運動の足跡をたどる。「町の見つけ方・歩き方・作り方」のサブタイトル通り、各地の特色を丁ていねいに見つめている。

   おもしろいのは、見分ける方法の一つとして「図書館があるかどうか」だとあることだ。貸本屋代わりの図書館ならちょっとした街にはよくあるが、問題はそこで歴史や文化がどこまで尊重されているかだろう。そのへんを著者はしっかり吟味している。

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