2024年 5月 3日 (金)

無血開城から墓の始末まで...勝海舟の後半生を活写

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ほんたうに面白いですよ

   本書で称揚されるのは、ひとり勝海舟のみではない。幕末三舟と謳われた髙橋泥舟、山岡鉄舟もさることながら、やはり西郷南洲は別格の扱いである。海舟は西郷没後早々に墓碑を建て「我を知る者はひとり西郷あるのみ」と刻み、以来、西郷の「逆賊」の汚名返上にも奔走する。

   海舟が建てた西郷の墓碑は、現在、洗足池(東京都大田区)のほとり、海舟の墓石の隣に移されているという。本書の締めくくりで、墓詣でをした著者の感慨が余韻をひく。

   海舟のプラグマティックかつ独特の見識は軍事外交のみならず財政にまで及び、著者による先の大戦との対比もあって本書は多面的な示唆を与えてくれるが、筆力乏しい評者には到底紹介しきれない。非力をお詫びしつつ、最後に阿川弘之氏による解説の末文を引用させて頂くこととしたい。

「私の亡父は長州の出...半藤さんにさんざん罵られてゐる『薩長の田吾作』なのである。田吾作の兒孫が面白いと保証するのだから、此の作品ほんたうに面白いですよ。」

酔漢(経済官庁・Ⅰ種)

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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