2021年 7月 24日 (土)

イタリア独立のきっかけ...になったかもしれないオペラ

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   先週や先々週とりあげた、ナポレオン戦争を題材とした音楽は、いずれも音楽家が意図して書いた愛国的な音楽でした。今週の1曲は、結果として、愛国運動を盛り上げるだけでなく、国そのものを創ってしまった、といわれているオペラです。イタリアを代表する作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ、「ナブッコ」です。

   この作品は、ヴェルディにとって3作目にあたり、出世作となったオペラです。妻と子供2人、という「自分以外のすべての家族」を病気で亡くして絶望的に落ち込んでいた...というより「ひきこもっていた」駆け出しの作曲家ヴェルディに、オペラの名門、ミラノ・スカラ座の当時の支配人メレッリが持ちかけたアイデアをもとに作曲されたものでした。

  • 「祖国統一の英雄」とされたヴェルディは旧1000リラ札にも登場した
    「祖国統一の英雄」とされたヴェルディは旧1000リラ札にも登場した
  • 有名なヴェルディの肖像画
    有名なヴェルディの肖像画
  • 「祖国統一の英雄」とされたヴェルディは旧1000リラ札にも登場した
  • 有名なヴェルディの肖像画

ジュゼッペ・ヴェルデ「ナブッコ」

   オペラの物語は、旧約聖書の「バビロン捕囚」を下敷きにしています。古代イスラエル人たちが、バビロニアの王、ネブカドネザル2世によって、強制移住させられたと記されているもので、実際の史実では、この事件により、エルサレムの地を離れても「ユダヤ人」という人種を守り通そうとする宗教的・民族的アイデンティティが出来上がったといわれていますし、バビロニアは、ペルシャによって滅ぼされるまで存在し、ユダヤ系の人々は、それまでエルサレムの地には戻れなかった、というのが真相です。

   しかし、オペラでは、自由に物語が作り変えられ、ネブカドネザル2世...イタリア語で「ナブコノドゾール」という王様がユダヤの神になぜか帰依してしまい、自ら積極的に捕虜を解放して、めでたし、めでたし...という歴史的事実から見れば、正反対で、強引なハッピーエンドで終わります。

   歴史の事実をいわば勝手に改変した台本に、失意のどん底にある若手作曲家が曲をつけたわけですから、このオペラが成功するかは、まったく未知数でした。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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