『前立腺がんは怖くない』 名医が最先端治療を伝える

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   国立がん研究センターのがん対策情報センターは2015年 4月、2016年に見つかる男性のがんのトップが前立腺がんになるだろうとの予測を発表した。

   予想患者数は 98400人で、90800 人の胃がん、90700 人の肺がんをあっさりと抜き去る。患者数ダントツ 1位、死亡率も 2位という「前立腺がん大国」米国の再現の不安も高まっている。

『前立腺がんは怖くない―― 最先端治療の現場から』 (小学館新書)
『前立腺がんは怖くない―― 最先端治療の現場から』 (小学館新書)

PSA値の測定で診断が容易に

   そんなホットな時期に、日本を代表する専門医、腹腔鏡手術の名手と評判の高い頴川晋 (えがわ・しん) 東京慈恵会医大教授 (泌尿器科) の『前立腺がんは怖くない―― 最先端治療の現場から』 (小学館新書)が2016年10月に出版された。

   前立腺はクルミほどの大きさの男性特有の臓器だが、働きなどは男性にもあまり知られていない。高齢になり、頻尿で夜中に何度も起きたり残尿の原因になる前立腺肥大症、そして前立腺がんなどの疑いで初めて意識することが多い。「ネズミには前立腺が 8個もある」「寝る前のお茶はトイレを増やす」「前立腺肥大とがんは無関係」「シアヌーク殿下、周恩来首相、ミッテラン大統領はじめの前立腺がん紳士録」など次々に展開されるエピソードに「ヘェー」と感心しているうちに、前立腺の役割が頭に入ってくる。親しみのある平易な語り口のせいだ。

   血液中のPSA値の測定で前立腺がんの診断が容易になった。治療法は手術、放射線、ホルモン療法、進行が遅い場合は何もしない選択もある。さらに手術は開腹、腹腔鏡、放射線も数種の照射法があり、組み合わせも多彩だ。PSA検査を受けて「前立腺がんは長寿病」にできることを強調する。週刊誌などで書かれている病院や医師の選び方には疑問を呈し、何でも相談できる「家庭医」が大事だと説く。

   腎臓移植をやろうと泌尿器科医局を選んだら最初の患者が前立腺がん、米留学先で出会ったのも前立腺がんの世界的権威だったという頴川さんの、前立腺への思いが自然に伝わってくる。(医療ジャーナリスト・田辺功)

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