2024年 4月 30日 (火)

狩猟シーズンに聴きたい、ホルンが活躍するハイドンの交響曲第73番「狩」

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狩りの女神が主人公だった

   そのため、作曲家が「狩り」をモチーフとするときには、ホルンを活躍させる楽曲になることが多いのです。今日取り上げる曲は、古典派の作曲家で、「交響曲の父」と呼ばれた、ヨーゼフ・ハイドンの交響曲第73番です。古典派の交響曲のスタイルの通り、4楽章からなりますが、最終楽章である第4楽章に、ハイドン自ら、フランス語で「La Chasse(狩り)」と書き込んでいることから、このニックネームで呼ばれます。実はこの楽章だけ、他の楽章の1年前、1780年に書かれたオペラ「報いられた誠」の第3幕の序曲を原曲として作曲されており、翌年に第1から第3までの楽章を書いて、オペラとは別の交響曲として成立させたものなのです。オペラの主人公が狩りの女神だったことから、ハイドンもそのような書き込みをしたのでしょう。狩りのシーンを彷彿とさせるような、ホルンのメロディーが途中に現れます。聴き手は、ホルンの響きを聞くと「狩りが始まるな・・」という感触を持つのです。

   もとがオペラの序曲だったという経緯もあり、普通、交響曲の終楽章は盛り上がって派手に終わる、というのが通例ですが、この曲はこのコラムで前に取り上げた交響曲「告別」と同じように、静かに、穏やかに終わります。

    実りの秋に、ジビエ料理などいただきながら、ゆったりと聴きたい古典派の佳曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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