2024年 3月 29日 (金)

地方創生、5つの視点で洗いなおす

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   ■『町の未来をこの手でつくる~紫波町オガールプロジェクト』(猪谷千香著、幻冬舎)

   ■『地方創生大全』(木下斉著、東洋経済新報社)

   政府が、「地方創生元年」とうたったのが、2015年。本年は、3年目だ。猪谷千香著「町の未来をこの手でつくる~紫波町オガールプロジェクト」(幻冬舎 2016年9月)は、「地方創生」に取り組む日本全国の自治体が熱く注目する岩手県紫波町の「公民連携事業」を生き生きと紹介している注目の1冊である。

   その中で「学生時代から各地で地域の再生を手がけ、公共事業の現場での実践経験を積みながら酸いも甘いも噛み分けてきた人」(15ページ)と紹介されているのが、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス(2009年設立)代表理事木下斉氏である。

言いにくいことを小気味よく指摘

   その彼が2014年12月から東洋経済オンラインで連載している「地方創生のリアル」から生まれた1冊が「地方創生大全」(2016年10月 東洋経済新報社)である。本書の帯には、「日本一過激な請負人が書いた日本一まっとうなガイドブック」、「東京人『でも』必読」とあり、扉の裏書には「まちを救いたいなら、動き出そう。動かない人は無視しよう。」とある。本書では、地方創生を進める上で、地方の構造問題を、政府の施策についても、極めて率直に異論・問題点を指摘しながら、5つの視点(以下の5章)で整理する。

   第1章「ネタの選び方」(「何に取り組むか」を正しく決める)では、「ゆるキャラ」について「大の大人が税金でやることか?」、「特産品」について「なぜ『食えたもんじゃない』ものがつくられるのか?」、「地域ブランド」について「凡庸な地域と商材で挑む無謀」などと、「いいだしにくいこと」をはっきり指摘して、小気味がよい。

   第2章「モノの使い方」(使い倒して「儲け」を生み出す)では、「人口減少社会では『真面目』が大失敗につながる」といい、前述の「オガールプロジェクト」は、「常識やぶり」、「新しい時代の真面目」の好事例として紹介される。

   第3章「ヒトのとらえ方」(「量」を補うより「効率」で勝負する)では、「人口増加策より自治体経営を見直そう」、観光について、「観光客数ではなく、観光消費を重視しよう」などの指摘がぐっさり胸に刺さる。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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