ブリューゲル「バベルの塔」展、4月18日から 「目玉作品」+「好事家向け」、ダブルで楽しむ

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   展覧会には二つのパターンがある。有名画家の「目玉」作品で大人数の集客を狙う一般向けと、隠れた名品を並べたコアな美術ファン向けだ。

   2017年4月18日から東京都美術館で始まる「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」は、一般向けと、美術通向けの両方の要素を持つ、興味深い展覧会だ。

ピーテル・ブリューゲル1世	「バベルの塔」	1568年頃©Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
ピーテル・ブリューゲル1世 「バベルの塔」 1568年頃©Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

来日は24年ぶり

   一般向けの目玉作品となるのは、ピーテル・ブリューゲル1世(1526年?~69)の歴史的名作「バベルの塔」。教科書などで見たことがある人も多いだろう。

   ブリューゲル1世は、現在のオランダやベルギーにあたるネーデルラント(フランドル)地方の画家。息子のブリューゲル2世や、ヤン・ブリューゲルも画家として活躍した。ファミリーで北方ルネサンス美術の一翼を担い、美術史に名を残した画家一族だ。

   「バベルの塔」は、天まで伸びる塔をつくろうとした聖書の物語が主題。それまでにも何人かの画家が同じテーマの作品を残しているが、ブリューゲル1世の「バベルの塔」は、構図の大胆さ、塔の迫力、精密な描写のいずれにおいても傑出している。「バベルの塔」といえば、彼の作品を第一にイメージする人が多い。

   サイズは59.9センチ×74.6センチ。そう大きくはないが、驚くほど細密で約1400人の人物が描き込まれている。高層建築の木材の足場やクレーン、塔内の教会なども探し出すことができる。気球に乗って俯瞰したかのような、壮大なパノラマ。遠くに地平線ものぞいている。

   ロッテルダムのボイマンス美術館の所蔵品で、館外に貸し出されたのは数回しかない。日本では24年ぶりという。

神と悪魔が同居

ヒエロニムス・ボス	「聖クリストフォロス」	1500年頃©Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands (Koenigs Collection)
ヒエロニムス・ボス 「聖クリストフォロス」 1500年頃©Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands (Koenigs Collection)

   一方、好事家向けで話題なのは、ヒエロニムス・ボス(1450ごろ~1516ごろ)の作品。やはりネーデルラントの画家。かつては「ボッシュ」と呼ばれたが、最近は「ボス」で通っている。知る人ぞ知る画家だが、ブリューゲルほど有名ではない。

   幻想と怪奇が入り混じった「ちょっと気持ち悪い」作品が多い。人間の深層心理に迫ったかのような特異な画風は、のちの時代のシュールレアリストや、精神病理学者らにも注目されてきた。

   日本では1970年に出版された平凡社の『ファブリ世界名画集』の第8分冊に登場。作品が大判画面でまとまった形で作品が紹介された。解説は当時気鋭の美術評論家・東野芳明氏だった。

   72年には高名な美術評論家・坂崎乙郎氏が『イメージの狩人』(新潮選書)の巻頭で取り上げ、扉絵に彼の作品を並べた。坂崎氏はこう書いている。

「私たちはボッシュの前にも後にもこれだけの才覚を発見できない」
「彼の画面ではつねに神と悪魔が同居」
「無意識のうちにシュールレアリズムを先取り」
「ボッシュのユニークな点は、人生をむなしいと達観しつつなお限りなく人間をいとおしんだ姿勢」

   現在、残っている作品は約25点。没後500年を記念して2016年、マドリードなどで大規模な回顧展が開かれ、世界中から美術関係者が押し寄せた。今回初めて来日するのは「聖クリストフォロス」と「放浪者(行商人)」、それにボスに基づくとされる追随者の作品「聖アントニウスの誘惑」などだが、日本でボスを知る貴重な機会となりそうだ。

   展覧会は7月2日まで。16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻など約90点が出品される。そのあと7月18日から10月15日まで大阪・国立国際美術館に巡回する。

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