2024年 4月 27日 (土)

人口減少による「孤立と縮小」への処方箋

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全世代型社会保障への転換――社会全体で財源を負担していくことが必要――

   今回の総選挙で、自民党は「子どもから、現役期、高齢期まで生涯を通じた全世代型の社会保障を構築します」と公約としたが、著者も、社会保障を「全世代型」へ転換すべきと主張している。

   まず、何よりも、出生率を回復し、将来の人口減少に歯止めをかけ、人口構造を変えることが重要だと指摘する。希望出生率1.8を2030年に実現でき、2040年に人口置換水準(2.07)まで回復すれば、2050年には高齢化のピーク(35.3%)を迎えるものの、長期的には現在の高齢化率と同水準の27%程度で安定するというのだ。

   そのためには、高齢期の支援が中心となっている現在の社会保障の在り方を改め、給付面では、「子育て支援」を強化し、負担面では「支え合い構造」を再構築する必要があるとする。

   子育て支援として、まず、仕事と子育ての両立支援、そして、経済的な支援の強化を行うべきだという。

   また、その財源については、(1)税財源、(2)子ども保険、(3)子育て支援連帯基金(年金、医療保険、介護保険が拠出)の3つの選択肢を挙げている。著者としては、社会保険方式を基本とする日本の社会保障との調和を保ちつつ、制度間の連帯という新たな支え合い機能を付加するという点で、(3)がお勧めのようである。

   負担の問題は、利害の対立もあって、そう一筋縄で答えの出る問題ではないが、いずれにせよ、全世代対応、しかも、使途が子育て支援という以上、社会全体で負担していく仕組みであることが基本であろう。難しい課題だが、逃げずに答えを出していかねばならない。

   当面、避けられない人口減少への対処と並行して、両面作戦となるが、一日も早く全世代型の社会保障を実現することによって、出生率の回復が図られ、将来の人口減少の懸念が払拭される日が来ることを期待したい。

JOJO(厚生労働省)

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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