2024年 4月 19日 (金)

ジジイへの伝言♪ 毒蝮三太夫さん「ババアなみにチャーミングであれ」

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   サンデー毎日(7月22日号)の「マムシの小言」で、タレントの毒蝮三太夫さんが「チャーミングなジジイになれ」と私たちに呼びかけている。

   かれこれ半世紀近く、TBSラジオで高齢者と毒舌で交流してきた毒蝮さん。先ごろ始まった上記連載でも「昭和・平成 世紀をまたいだ辻説法師」として、いつもの名調子で読者、とりわけ「ジジイとババア」を相手にしている。フリートークを再構成したものらしいが、ナマの語り口がていねいに再現されており、人気企画になるだろう。

「俺がここ数年、小言フレーズとして説いているのが、チャーミングなジジイになれということだ。ジジイに対してチャーミングもねぇだろって? そんなことないんだよ」

   82歳の毒蝮さん。この日本で、彼ほど多くのお年寄りと公開トークを重ねてきた人はいまい。だから、そのジジババ観にはおのずと説得力が伴う。

「生放送であちこち行くけど、ババアっていうのは実に元気なんだ。俺のへらず口に対してちゃんと球を返してくるしな...それに比べてジジイは元気がないし、どこか飾っていてオープンマインドじゃないんだよ...圧倒的にそういう傾向だと思う」

   例えば、定年を境に万事にやりがいを失う、いつまでも昔の肩書にこだわる。そんな高齢男性は「ちっとも自由じゃないし、可愛げがないんだよ」と愛のムチが飛ぶ。

   「威張って、頑固でいたら若者に嫌われるぜ。カミサンにだって相手にされなくなったりするんだよ」...はーい(泣)

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目ざすは日野原先生

    毒蝮さんがそんなことを考え始めたのは、1年前に105歳で亡くなった日野原重明さん(聖路加国際病院名誉院長)との付き合いからだという。

「いつもニコニコ笑っていて、人の話にきちんと耳を傾けてる。好奇心も旺盛だし、すごい人だと思ったね。俺もああいう年の取り方をしたいと...」

   ここで毒蝮さんが意識するのは、日野原さんとの年齢差23歳。つまり先生を手本にする以上、23歳下のアラ還の手本になるようなジジイになるぞ、というわけだ。

「今日からチャーミングを始めようじゃないか。素直になって、心を開いて、接する人には笑顔だ。おしゃれもしてな...高級ブランドを着ろと言ってるんじゃない。こぎれいでこざっぱりとして年相応のスタイルでいればいいんだ。無理して若ぶる必要はないよ」

   その勢いで、若い世代にも「今から心してチャーミングなジジイになる仕度をしなよ」と促すマムシさんであった。「そして、周囲の後輩や子ども、カミサンに大事にしてもらえるようになろうじゃないか」...はーい。

結局は見た目かも

   毒蝮さんは全国、津々浦々の高齢者に説教できる稀有な芸能人である。技量、経験ともに申し分ない。だから私も、上記の文章を心して読んだ。

   チャーミングなジジイとは、お茶目なおじいちゃんといったところか。ジジイ予備軍の私も、だいたいそのあたりを目ざしてはいるのだが、これがなかなか難しい。何が邪魔するかといえば、まず見栄である。

   毒蝮さんが書くように、ついつい現役時代の地位や肩書を意識し、お茶目に振る舞おうにも「恥ずかしくてそんなことできないよ」「少し怖がられるくらいがいいんだ」といった反応になってしまう。そんな時、無理してスベるのが一番つらい。自然体、かつチャーミングというのは、凡人にはかなり高いハードルではなかろうか。

   敬老の日にちなんで「理想のおじいちゃん」をたずねるアンケートがある。ネットで探したところ、そのいくつかで三國連太郎(1923-2013)がトップだった。なるほど、晩年の代表作、映画「釣りバカ日誌」シリーズの社長役などは、とぼけた味がまさにチャーミングといえる。

   ただ、勘違いしてはいけない。二枚目が演じているから素敵に見えるわけで、宇津井健しかり、田村正和しかりである。私ら一般のジジイとその予備軍は、そこを間違うと恥の上塗りだ。せめて汚らしくならないよう、身だしなみには気をつけよう。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)

コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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