2019年 12月 11日 (水)

ASIAN KUNG-FU GENERATION
「失意や挫折」の中の「勇気や希望」

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   タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」

   平成最後の年末ということもあって、この30年を振り返る機会も増えている。平成元年になって三日目に発売された美空ひばりの「川の流れのように」に始まる30年間。あそこが転機だったと思われる出来事がいくつもある。

   例えば、音楽業界的に言えばCDの売り上げが史上最高だった1998年、99年。平成10年、11年がそうだろう。そこから下り坂をたどりながら終わろうとしている。

   世界史的に言えば2001年、平成13年の9・11だろうし、日本史的に言うと2011年、平成23年の3・11がそういう年だったと思う。音楽に携わる人たちも世の中の出来事とどう向き合うかが問われたという意味でも戦後最もシリアスな場面だったのではないだろうか。

   前置きが長くなっているかもしれない。でも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのアルバム「ホームタウン」を聴いていて、改めてそんな時の流れを思ってしまった。

   どんな風に思ったか。

   時の流れと戦うことであり負けない、ということだ。それもロックバンドとして、である。

  • 「ホームタウン」(KMU、アマゾンHPより)
    「ホームタウン」(KMU、アマゾンHPより)

「ロックバンドを諦めない」

   平成の30年間ほど音楽の状況が変わった時代はない。アナログからCDという形態はもちろんのこと、音楽の作り方も激変した。コンピューターを使えばミュージシャンに頼まずともいくらでも音が作れる。バンドであっても自分たち以外の演奏を入れることが出来る。どんな時代の音も再現出来てしまう。何でも出来るということは何も出来なくなるということに等しいかもしれない。

   自分たちの演奏にこだわるオーソドックスなロックバンドにとってはこんなに存在感を問われる時代はなかったのではないだろうか。

   ASIAN KUNG-FU GENERATIONのV&G、後藤正文はホームページのブログ「HOME TOWNのよもやま話」でこう書いていた。

「一言で表せば、『ロックバンドを諦めない』というのが今作のテーマだった。『アジカンを諦めない』と書き直しても、同じ意味だと思う」
「アジカンをアジカンのまま貫こうと思った」
「とはいえ、音源におけるロックバンドの難しさは続いている」

   話の文脈は「音」だ。

   J-POPの音はスカスカに軽いものになっていないか。だからと言ってサンプリングを使ったクラブミュージックのように重低音を振動させればそれでいいのか。ロックバンドは世界的にそれに取り残されていないか。自分たちが求める重低音をどうレコーディングするのか。従来は自分たちの有力な手段だと思っていたギター・ベース・ドラムという型が柵(しがらみ)として作用することもある、とまで書いていた。それでも自分たちは諦めない、という中での文章だった。

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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