2020年 11月 30日 (月)

ASIAN KUNG-FU GENERATION
「失意や挫折」の中の「勇気や希望」

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ダブルミーニング的面白さのある詩

   ロックバンドの命はそうした「音」だけではない。ミュージシャンが口にする言葉を使えば「タイム感」である。ベースとドラムのタイミング、ギターのカッティングの呼吸。「息が合う」ということ以外の何ものでもない。アルバムの最初の印象はバンドサウンドの心地よさだった。彼はこうも書いている。

   「機械的にではなく、俺たちのタイミングで、俺たちの演奏で、アジカンならではの演奏と楽曲なのに音がユニーク、みたいなところを目指した」

   アルバム「ホームタウン」に感じた「諦めないこと」はそうしたロックバンドの「音」だけではない。むしろ歌の内容にこそそれを感じたと言って良い。

   ASIAN KUNG-FU GENERATIONは、後藤正文(V・G)、喜多建介(G・V)、山田貴洋(B・V)、伊地知潔(D)。96年、大学の軽音楽部の仲間で結成された。メジャーデビューは2003年。今年は15周年にあたる。ライブでの発信力と確かなバンドサウンドはフェスには欠かせない存在になっている。

   特に、同時にソングライターでもある後藤正文の書く言葉の詩的世界は彼らの大きな特徴になっている。状況を表現する比喩の抽象性と抒情性、言葉の裏にいくつもの意味が込められているようなダブルミーニング的面白さは今のロックバンドの中でも屈指のものがある。「ホームタウン」は、そういう意味の傑作に思えた。

   例えば、一曲目の「クロックワーク」で歌われる「時計」や「文字盤」「歯車」「振り子」などの言葉は時の流れの中で「終わったこと」や「過ぎたこと」として顧みられなくなることへの抗いのようにも思える。タイトル曲の「ホームタウン」には、こんな一節もある。

   「こんなことして何のためになるんだ

   そんな問いで埋め尽くされてたまるかよ

   ねえ そうだろ」

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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