2020年 10月 22日 (木)

男性育休「義務化」を 職場と家庭は飛躍的に変われるか

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■『男性の育休』(著・小室淑恵/天野妙 PHP新書)

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   1991(平成3)年に育児休業法(当時)が成立して育児休業制度が法制化されてから約30年、累次にわたる制度改正の取り組みが行われ、普及にも力が注がれてきた。女性でみれば、1996年度に49.1%だった育児休業取得率は、2019年度では83.0%になっており、多くの女性が1年前後の育児休業を取得したのち職場に復帰している(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。

   国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」や厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」をみても、近年、妻の出産前後の就業継続率はそれなりに上昇してきている。育休の普及・活用が後押しとなっているとみられる結果も示されていて、育休が女性の出産・育児期におけるキャリア継続の支えとして重要な役割を果たしていることが確認できる。

   しかし、男性についてみると、育児休業取得率は、1996年度の0.12%から、上昇してはいるものの2019年度で7.48%にとどまっており、取得期間も、7割程度は2週間未満、8割程度は1か月未満となっている。普及の速度はかなり緩やかだ。少子化対策の柱として育休が十分な役割を果たすためには、男性の取得率上昇(男性の家事・育児参加)が急がれるということは、多くの人々の共通認識だろう。

日本の育休制度、男性の育休期間は柔軟性が高い

   本書では、各種アンケート調査や若者たちの声から、多くの若い男性は育休を取得したいと希望し、多くの若い女性は夫に家事・育児で役割を果たしてほしいと思っていることが示される。そして、現在の日本の育児休業制度は、取得可能期間や所得保障の水準でも、諸外国に比べて見劣りするようなものではなくむしろ手厚い面もあること、男性が育休を取得するとき取得期間の柔軟性が高くなるような工夫があることなども指摘される。

   問題のひとつは、会社で制度化されていなければ取得できないという誤解があるなど、我が国の育児休業制度が十分に知られていないこと。もうひとつは、企業などの職場に、長時間労働や属人的な仕事のやり方など育休を取得しづらい雰囲気が(まだ、かなり)あることだという。そして、男性育休「義務化」が必要であるという。

   著者のいう「義務化」のポイントは、個人の選択の自由を前提としたうえで、「企業には、育休取得対象者に対して、取得する権利があることを必ず説明する義務がある」ことを規定するという「周知」の義務化。これまでの普及啓発活動は主に男性本人へのものだったが、これからは企業に本質的な行動変容を促す必要があるという考え方が基本にある。「『男性育休』は当人のみならず全ての社員の価値観を変える大きなチャンス」「社会を変えるレバレッジポイント」だからあえて「義務化」という「パワーワード」を使っているともいう。

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