2021年 10月 19日 (火)

人気の河鍋暁斎、その実力がわかるユニークな展覧会 「下絵」ばかりですみません!

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   まだ伊藤若冲(1716~1800)ほど有名ではないが、「ポスト・若冲」をうかがう一番手として期待されている――江戸後期から明治初期にかけて活躍した河鍋暁斎(1831~1889)は、そんな画家だ。

生の筆づかいがわかる

   大胆な構図。グロテスクな描写・・・最近ではあちこちで大規模な回顧展が開かれている。そんな中で、2020年11月28日から東京駅の東京ステーションギャラリーで始まる「河鍋暁斎の底力」展はちょっと様相が異なる。本人の「本画」ではなく、「下絵」を集めた展覧会なのだ。

   「本画」とは、下絵に彩色を施した完成品。ところが今回の「底力」展で並んでいるのは素描、画稿、さらには宴席など即興で描かれた席画、絵手本など。いわば、生の筆づかいが感じられる作品ばかり。その理由を主催者は以下のように説明している。

「本画は完成度が高い一方で、筆勢が抑制された、いわばお行儀のいい作品と言え、彩色などには時に弟子の手が入ることもありました。また、暁斎には多くの版画作品がありますが、これらは暁斎の原画を、彫師と摺師、すなわち他人の協力を得て完成させたものです。これに対して下絵や画稿類は100%暁斎の手になり、その卓越した筆力をまざまざと感じることができます。本展は、あえて本画を展示せず、暁斎の描写と表現の力量のみを、存分に味わっていただこう、というチャレンジングな試みなのです」
「暁斎の下絵や画稿は、本画にはない独自の魅力に満ちています。暁斎は一度その対象を把握してしまえば、実物を前にしなくとも、あらゆる方向から見た、どんなポーズの姿でも描くことができたのです。画稿類には、この能力がいかんなく発揮され、数々の驚くべき群像表現を見ることができます。そして画面を埋め尽くすように描き込まれた無数の線描の迫力・筆の勢いも、見どころのひとつです。衣服の襞や髪の毛、顔や身体の皺など、本画では整理されてしまう細部が、画稿では執拗に描かれます。それがかえって、本画では薄められてしまった迫力とダイナミックな動きを表現しており、尽きせぬ魅力となっているのです」
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