五輪ボランティアのワクチン足りない? 海外要人経費43億円の使い道は?

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   東京五輪開幕まであと50日ほどになった。選手団の第一陣が来日するなど、諸準備が進んでいるように見える。しかしながら観客を入れるのか、入れないのか、陰性証明をどうするのか、ボランティアにワクチンは行き渡るのかなど、いまだにはっきりしないことが多い。現状の問題点やチェックポイントを振り返ってみると――。

  • 選手、ボランティア、VIP…ワクチンをめぐる「差」が
    選手、ボランティア、VIP…ワクチンをめぐる「差」が
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毎日PCR検査

   まず来日する選手団やマスコミ関係者のチェック。第一陣として2021年6月1日、ソフトボール女子豪州選手団29人が成田空港に到着した。

   朝日新聞によると、空港検疫では一般客と同様、2列に並んだパイプいすに座り、健康状態などを確認する書類の配布を受けた。抗原検査のため唾液(だえき)を採取して提出。内閣官房によると、全員の陰性が確認された。

   選手団は全員新型コロナワクチンを接種しており、豪州を出国前にPCR検査を2回受け、陰性証明を持っている。事前合宿中も毎日、PCR検査を受けるという。

   ホストタウンの群馬県太田市によると、選手らは大会直前の7月17日まで約1か月半、市内のホテルに滞在し、日本の実業団チームとの練習試合なども予定している。

   このように選手団の入国と行動はかなり規制されている。だが、自由に動き回らなければならないマスコミ関係者などについて、厳しい行動規制が可能か、などが心配されている。

「陰性証明」は可能か

   二つ目のチェックポイントは、五輪の観客。すでに海外からの観客は断念しているが、問題は国内からの観客。読売新聞は5月31日、独自ニュースとして「東京五輪観客に『陰性証明』求める、1週間以内の取得条件」という政府原案を報じた。

   それによると、観客全員に事前にPCR検査などを求め、入り口で観戦日の前1週間以内の陰性証明書を提示することを条件に入場を認める。ワクチンを接種した人は接種証明書があれば陰性証明書は求めない。検査費は自己負担だという。

   会場では、入り口での健康チェックやマスクの常時着用、分散退場などを徹底する。観戦中の食事や飲酒、大声での応援、ハイタッチは禁止の方向だ。警備員を配置し、違反に対しては入場拒否や退場などの措置も想定しているという。

   この方式については問題点も指摘されている。朝日新聞は、「いま公的な証明書は存在しない。例えば検査した病院で出された書類なら何でもいいのか。それをどう確認するのか」という関係者の懸念を報じている。

   もう一つは「1週間以内」という期間。東京医大の濱田篤郎・特任教授(渡航医学)は朝日の取材に、「検査を受けた時が陰性だっただけで、その後に陽性になる可能性がある点には注意が必要だ」と語り、「1週間以内の取得」という期間については、「長すぎる。海外からの渡航者に求められている72時間以内が妥当ではないか」と指摘している。

   国内在住の外国人も多数観客になると考えられるだけに、慎重かつ丁寧な対応が求められることになる。

クラスター発生が怖い

   三つ目の懸念はボランティアだ。大会組織委員会が募る「大会ボランティア」が約8万人、自治体が募る「都市ボランティア」が約4万人と想定されていた。前者は大会会場や選手村で、後者はそれ以外の場所でサポートする予定だが、多数の辞退者が出ていると報じられている。

   5月31日のテレビ朝日「報道ステーション」は、ボランティアの辞退理由の一つに「感染が怖い」という不安があると指摘していた。日本の選手や大会関係者に対しては、ファイザー社製のワクチン2万人分が提供される予定だが、接種対象者にボランティアが含まれているのかどうか、はっきりしない。大会組織委員会の武藤敏郎事務局長は「選手等に近いのが一つの基準になる」と説明しているが、無給で奉仕するボランティアが、何となくないがしろにされている感がある。

   報道ステーションは、「五輪をやってほしい、見たいという気持ちはあるが、それ以上に、万が一、クラスターが発生して深刻な状況に陥ってしまうのが怖い」というボランティア辞退者の声を紹介していた。

   周知のようにIOC(オリンピック委員会)は歴代会長の過半を西欧の貴族が牛耳る階級社会。その最下層を担う形の、無報酬・善意のボランティアが、ワクチンを受けられないまま感染してしまうリスクがゼロではない。

「五輪セレブ」に大きな抜け穴

   こうしたボランティアの冷遇ぶりと好対照になっているのが、来日要人に対する待遇だ。AERAによると、外務省は「要人接遇関係経費」として43億6100万円を確保している。

   AERAが、外務省の要人接遇事務局に使途を問い合わせたところ、「大統領、国王、首相といった首脳級の人たちの接遇に必要なものとして予算を計上しています。例えば、外務省から賓客に車両の提供や、空港での接遇など。細かいことを言うと、赤じゅうたんを敷くとか、空港に要人が来た時のVIPルームといったらいいのか、出発前にちょっと待っていただく部屋も確保する必要がありますので、そのあたりでかかってくる経費が主に含まれています」(要人接遇事務局)。

   東京五輪に何か国、何人の要人が訪日するかは今のところ不明。「コロナ禍での開催となるので、普段よりは要人の数は少なくなるかと思います」(要人接遇事務局)。

   要人の隔離期間やPCR検査を選手たちと同じように扱うかは「検討中」だという。ワクチン接種については、「義務化されていないので、考慮する要素にはならない」というのが回答だ。

   来日する「五輪セレブ」に対しては、大きな抜け穴がある状態になっている。

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