2024年 4月 20日 (土)

インド型変異株でクラスター 東京の中学、生徒と家族14人感染の報道

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   新型コロナウイルス対策で10都道府県に出されている緊急事態宣言が、沖縄を除く9都道府県で2021年6月20日に解除され、このうち東京や大阪など7都道府県はまん延防止等重点措置に移行することになった。

   一方で専門家の間では、依然としてインド型変異株(デルタ株)へ懸念が強い。7月23日の五輪開幕に向けて緊張の日々が続くことになりそうだ。

  • ワクチン接種が急がれる
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2台の車に分乗して練習場へ

   TBSは6月17日夕、「独自ニュース」として都内で起きたデルタ株クラスターの詳細をリポートした。

   都はすでに9日、「都内の中学校でインド型変異株のクラスターが発生し、男子生徒5人とその家族ら6人の計11人の感染が確認された」と発表していた。いずれも軽症。同校で、さらに約100人のPCR検査を進めているとのことだったが、具体的な状況は不明だった。

   TBSによると、このクラスターの人数は17日までに少し増えて、少なくとも男子生徒8人とその家族6人のあわせて14人の感染が判明しているという。

   男子生徒のうち7人は野球部に所属。新型コロナの影響で土日の学校での部活動が休止されていたため、5月下旬、河川敷で自主練習をしていた。

   7人は保護者が運転する2台の車で河川敷に向かい、車内ではマスクを着用していた。移動時間は長くても数十分とみられるが、その車内か、屋外での練習中に感染が広がった可能性が高いという。

   数日後に7人のうち1人が発熱し、新型コロナへの感染が判明。さらに、変異ウイルスを調べる検査でインド型であることが分かった。そして、他の6人も全員の感染が判明し、家族や同級生にも広がって、東京都はインド型のクラスターと認定したという。

   「学校としては最大限の感染対策をしていた。濃厚接触者の中の陽性率が極めて高かったので、インド型の感染力の強さを感じる」という学校関係者の衝撃の声を伝えている。

   クラスターの発生を受け、学校は3日間休校にして消毒を実施。野球部員や同級生、教員らおよそ120人に対象を広げて追加のPCR検査をしたという。

1000倍以上のウイルス量

   TBSの報道は、東京都の発表よりもはるかに詳しい内容だ。部活休止に伴い、自主練習などをしている中学生や保護者は少なくない。大いに参考になるリアリティーのある情報だといえる。

   ニュースの中で、国際医療福祉大学の松本哲哉教授は、「インド(型変異)株の方が1000倍、あるいは1万倍、ウイルス量が多い場合がある。同じ部屋にいる人たちをドッと感染させてしまうぐらいの力。今までなら大丈夫だと思っていた条件でも、デルタ株のような感染力の強さでは感染が成立してしまう」と警告している。

   東京都は14日には、インド型変異ウイルスによる初の死亡事例が都内で確認されたと発表している。都内に住む50代の男性で、がんの基礎疾患があったという。

   厚生労働省によると、デルタ株の国内感染者は14日までに12都府県で計117人。東京30人。神奈川17人、千葉16人、静岡と兵庫各11人、大阪9人、埼玉8人など。7日時点で全国では87人だったので、少しずつ増えている。

   京都大の西浦博教授は、デルタ株は感染力が従来株の約1.8倍で、7月中旬に半数を超え、同月末には8割に達するとの試算を公表している。

抑制したはずの英国で再び急増

   NHKによると、英国政府は14日、デルタ株による感染が国内で急速に拡大しているとして、新型コロナウイルス対策の規制をほぼ撤廃する計画を、予定よりもおよそ1か月延期すると発表した。

   4月中旬には1日1000人台にまで感染者が減少した英国では5月以降、デルタ株による感染が急速に拡大し、ここ1週間ほどは1日の感染者が7000人を超える日が続いている。このため、ジョンソン首相は、「規制を撤廃すれば、ウイルスがワクチン接種のスピードを上回り、数千人が犠牲になる事態が現実に起こりうる。ウイルスは根絶できず共生しなくてはならない」と、規制延長への理解を求めたという。

   英保健当局によると、デルタ株の変異ウイルスの感染力は英国株よりも強い。現在、英国内の新たな感染者の90%以上を占めていると分析している。

   英国ではワクチン接種が日本よりもはるかに進んでいるにもかかわらず、急速にデルタ株の感染が広がっている。英保健局では、ワクチンの2回接種はデルタ株にも有効だとして、7月19日までに18歳以上の国民のおよそ3分の2に2回の接種を完了させるため、接種の間隔を短縮するなど対応を急ぐ方針だという。感染者は17日にはついに1万人を超えている。

デルタ株検査の重点移す

   五輪開催に向けて突き進む日本では英国以上に、ワクチン接種の拡大とデルタ株の抑制が喫緊の課題となる。厚労省によると、ワクチンの効果が確実になるのは最初の接種から4~6週間後だという。今や五輪開催に間に合わせるということは、すでに時間的に極めて厳しい状態になっている可能性もある。

   五輪では海外から大勢の関係者が来日する。国内の空港などの検疫ではすでに6月7日までに計202人のデルタ株感染が判明している。慶応大の小崎健次郎教授(臨床遺伝学)らのチームは、インドから直接流入しただけでなく、英国や米国を経由したケースもあるとの解析をまとめている。

   読売新聞は、水際対策として、厚生労働省が海外からの入国者に毎日求めている位置情報の報告について、最近も1日平均で約4000人が「応答なし」だと報じている。

   政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」などの専門家有志は、感染拡大の予兆があれば五輪開催中であっても、ためらわずに緊急事態宣言など「必要な対策を取れるよう準備し、タイミングを逃さずに実行」するよう政府に求めている。

   東京都など各都道府県は最近になって、新型コロナウイルスの変異株に関するスクリーニング検査を、英国株からデルタ株に切り替えている。このため、デルタ株についてはこれから検出が増えてくる可能性もありそうだ。

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