元祖・日本一バズる農家の攻める広報術 安井ファームの「ブロクリエイティブ」

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【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。隔週水曜夜、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招いて、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」や「オンラインセミナー」で語らう企画が「作リエ」だ。
連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。
未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?

   第9回のゲストは、石川県産ブロッコリーの約10個に3個を生産している農業法人安井ファーム(石川県白山市)の広報担当者で、公式ツイッターの「中の人」。テーマは「農家の『攻める広報術』 クリエイティブがバズにつながる』」だ。スペースアーカイブはこちらから。

  • 安井ファーム広報と、自作のブロッコリースプラッシュ(提供:安井ファーム)
    安井ファーム広報と、自作のブロッコリースプラッシュ(提供:安井ファーム)
  • 安井ファーム広報と、自作のブロッコリースプラッシュ(提供:安井ファーム)

「広報×クリエイティブ」でバズるコツ

「アナタの心のブロッコリー、有限会社安井ファーム公式ツイッター中の人です!」

   ユニークな名乗り口上と共に登場した、今回のゲスト。普段の仕事は、取材対応やSNS運用に加え、ブロッコリーの選別や出荷作業など多岐に渡る。

   特に「クリエイティブ」を駆使するのが、ツイッターだ。会社の知名度向上とブロッコリーの消費拡大を目指しており、ブロッコリーに興味・関心をもってもらえるよう、ブロッコリーの調理法やレシピ、豆知識を、自作の画像やGIFアニメを通じて、面白く発信。幾度となく「バズ」っては注目を集め、2022年2月には「日本一バズる農家の健康ブロッコリーレシピ」を発売するまでに。

   他にもLINEスタンプ、30秒のシングル曲他社のツイッターとのコラボキャンベーンバナーを自ら手がけるなど、「マルチブロッコリークリエイター」として活躍している。山下さんは、安井ファーム広報のバイタリティに驚きつつ、「他社とコラボするうえで、デザイナーやイラストレーター、私のような映像制作者に発注するのではなく、自作するのは、企業公式ツイッター担当としては異色なのでは」と指摘。

山下さん「すばり『広報×クリエイティブ』でバズるコツって何でしょう」
安井ファーム広報「世の中を意識することだと思っています。情報が刺さる人にだけ刺さればいい、という考えもアリですが、こちらが発信する内容に対してネガティブな感情を持つ相手にも振り向いてもらうにはどうしようか、と考えるのがよいのではと」

   具体的には「ブロッコリーが嫌いな人には、どうやって好きになってもらえるか」を踏まえ、制作・発信している。またツイッターは「休憩時間や、暇つぶしに使われやすい」という予測のもと、頭を使わずに楽しめる短尺作品づくりを心がけているそうだ。

   ただ、狙ってバズらせるのは難しいとも語る。

安井ファーム広報「受け手の皆さんがどう思って拡散するかまではわからず、思い通りにいかないです。発信してから『皆さんにこう映っているのか』と感じることもある」
山下さん「なるほど。とにかく打席に立って、打ってみないことにはわからないと」
安井ファーム広報「そうですね。2021年でいうと、(バズったのは)20個に1個くらいです」

   斬新な発想力と創作力で、元祖「日本一バズる農家」となった安井ファーム広報。「高校は普通科で、大学は網走(北海道)にある大学で食品を専攻し、ずっと冷麺を作っていた」そうで、学生時代は曰く「ノンクリエイティブボーイ」。社会人になり、安井ファームでツイッターを運用し始めてから、仕事として「やらざるを得ない状況」に追い込まれ、クリエイティブにまつわる数々のスキルを独学で、楽しみつつ磨いてきている。

山下さん「『ブロッコリースプラッシュ』というGIFアニメを見ましたが、編集ソフトのAfter Effects(Adobe)で作っていますよね。独学で習得する意欲がすごい......。クリエイティブの軸というか、創作における柱は何なのでしょうか」
安井ファーム広報「ずばり、『ブロッコリー』です!私の場合、クリエイティブを思考する目的がブロッコリーですから」
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