電気代値上げ「4月実施」は先送り 上げ幅も圧縮されそう

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   値上げラッシュが続く中で、多くの人に影響があるのが電気代だ。すでに家庭用の電気料金は、この1年で大幅に上昇しているが、電力会社は2023年4月から、燃料代の高騰などを理由に、さらなる値上げをする予定だった。しかし、直近の燃料代の値下がりなどにより、値上げの時期はずれ込み、値上げ幅も圧縮される見通しだ。

  • 家庭用の電気料金は、この1年で大幅に上昇している
    家庭用の電気料金は、この1年で大幅に上昇している
  • 家庭用の電気料金は、この1年で大幅に上昇している

7社が28%から45%の値上げ申請

   電気代は地域や電力会社によって異なる。総務省の調べによると、23年1月の東京23区の電気代は、前年同月比で24.6%上昇した。

   NHKによると、電気料金には、値上げの際に国の認可が必要な「規制料金」と、電力会社が独自に決められる「自由料金」がある。多くの家庭は「規制料金」。発電に使われる燃料(天然ガスや石炭など)の価格変動を受けて、多少上下するが、上限が決まっている。

   ウクライナ危機や円安などで燃料価格は暴騰。多くの電力会社の電気料金は昨秋以降、この「規制料金」の上限に達し、経営が苦しくなっていた。このため、大手10社のうち、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の5社は今年4月からの値上げを、東京電力と北海道電力は今年6月からの値上げを、経済産業省に対し申請していた。値上げの幅は、各社が申請した時点では28%から45%。

   政府は電気料金の負担軽減策として、今年2月請求分から、家庭向けで1キロワットアワーあたり7円を補助。これによって平均的な家庭の電気料金は1月の請求分と比べて1600円から1800円ほど値下がりした。4月以降の値上げが実施されると、こうした負担軽減策の効果が薄れてしまう。

経産省は「圧縮」を指示

   しかしながら今回の値上げ申請は、すんなりとは認められない模様だ。

   TBSは3月15日、「電気料金の値上げ、燃料価格下落踏まえ"値上げ幅圧縮"指示」と報じた。

   火力発電に使うLNG=液化天然ガスが値下がりしていることや、円安が一服していることなどが理由。値上げ幅を圧縮して改めて申請し直すよう各社に指示する方針を固めたという。

   NHKも同日、「電気料金 "値上げ幅圧縮" 各社に指示へ 経済産業省」というニュースを流した。

   電力各社の値上げ申請は、22年11月から今年1月までの直近3か月間の燃料費の試算をもとにしているが、原油や石炭、LNG=液化天然ガスの輸入価格は、このところ安定。各社の申請時点に比べて、東京電力で2536億円、北海道電力で225億円燃料費を圧縮でき、7社のうち6社で負担が軽くなっているという。

   経産省の指示を受けて、電力各社が再計算するには一定の時間がかかることから、東北、北陸、中国、四国、沖縄電力の5社が申請している4月の値上げは先送りされる見通しだという。

不祥事が相次ぐ

   電力会社は値上げ申請をする一方で、不祥事が続いている。朝日新聞によると、昨年12月には企業向けの電力供給をめぐり、公正取引委員会が中国、中部、九州などに独占禁止法違反で総額約1000億円の課徴金納付命令を出す処分案を通知した。

   さらに昨年末以降、大手電力の小売り部門が、競争相手である新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題が続々と発覚した。

   こうした事態を重視しているのが、河野太郎消費者担当相だ。毎日新聞によると、3月13日の内閣府消費者委員会の有識者会合で、電力大手7社が国に申請している家庭向け電気料金の値上げについて、「単に料金の問題にとどまることなく、トータルパッケージで議論し、結論を出さなければならない」と述べた。

   不祥事が続いている会社の値上げ申請を、そのまま認めるわけにはいかない、という厳しいメッセージだ。

   電力会社の値上げ申請は、主管官庁の経産省から再考を求められ、消費者の立場も重視する河野消費者相からもイエローカード。仕切り直しを迫られる異例の事態となっている。

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