企業や自治体作ったメタバースに入ったら「誰もいない」 ユーザー集客ねらうには(前編)

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集客に力入れ続ける難しさ

   往来(東京都港区)の代表取締役・東智美(ぴちきょ)さんに取材した。メタバースのマーケティングや、VRChatを中心としたWorld(仮想の世界)プロデュースと制作を手がける。

   人が来ないメタバースだと、新たに訪れたユーザーが「ぼっち」状態となり、定着しづらくなる現象。これは、独自のメタバースプラットフォームを作る場合でも、あるいは「Cluster」のように既存のプラットフォーム内にワールドを作る場合でも、「多くの企画者やクリエイターが頭を悩ませるポイント」という。

   特に独自のメタバースプラットフォームを新規に作る場合、より集客が難しいと続ける。操作性の良さやコンテンツの魅力、コミュニケーションの楽しさや他人とつながれること。そして「常時人がいる」こと。これらのうちどれかが突出するか、すべてをクリアする必要がある。

   コンテンツの魅力には、相応の企画力や制作力、予算が。コミュニケーションの楽しさや、人とつながれるという要素をクリアする場合にも、強力なIP(知的財産)の活用や、イベントの企画と推進が必要で、やはりコストが必要だ。「なかなかそこまで継続する体力のある企業や自治体が少ないのが実情ではないでしょうか」

   すると既存のメタバースプラットフォーム「ロブロックス」、「フォートナイト」、「VRChat」など、すでに人がいるプラットフォームを活用するのが手軽だ。

   一方で、そこにはユーザーによる独自の社会が存在しており、その社会について理解し最適化したメタバースを作らないと、関心が得られないという。また、現実世界よりも新たな訪問可能スポットが増えるスピードが速く、流行がすぐに移る。そのなかで存在感を示し続けるのは難しいとう。

   結果として、毎年夏、冬に開催される世界最大のメタバースイベント「バーチャルマーケット」や、サンリオが21年12月、23年1月に実施したバーチャルイベント「SANRIO Virtual Festival」のように、「短期決戦のイベント方式で、コミュニケーションの密度を高める戦略が主流になっている」と分析した。

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