Z世代「食べるより揺らしたい」猫プリン 「食はエンタメ」、映えを動画で伝えたい

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【連載】Z世代のトレンド研究
「Z世代」は、日々どんな情報に注目し、トレンドを追っているのか。テテマーチ(東京都目黒区)マーケティング研究室「lookey(ルーキー)」のプロジェクトリーダー・川又潤子さんが、Z世代メンバー(同社定義:1995年から2010年生まれ)と共に、はやりのヒト・モノ・コトを取材。人気の秘訣をZ世代の視点で分析し、伝えていく。

   最近、Z世代を中心に人気急上昇の韓国発のスイーツ「トスニプリン」を知っていますか? もしかしたら「猫プリン」と言った方が伝わるかもしれませんね。愛称の通り、立体的なネコの形をしたやわらかいプリンです。お皿を揺らすとゆらゆら揺れる動画がSNSで注目を集めて、「2023年下半期Z世代トレンドランキング」のグルメ・スイーツ部門で1位になるほど。

   今回は、lookeyプロジェクトリーダーの私・川又が、実際に「猫プリン」を食べて人気の秘密を探ってきました! Z世代にとって「食」とはもはや、ただ食べるのみにあらず、のようですよ。

  • 揺らすとかわいい「猫プリン」
    揺らすとかわいい「猫プリン」
  • 揺らすとかわいい「猫プリン」

お尻をペチペチ

   今回お邪魔したのは、韓国グルメ・スイーツが多数集まる新大久保のカフェ「Studio Cafe MARU」。11時の開店時刻と同時に入店したところ、続々と若い女性客が集まってきました。

   店内の至る所にデジタルサイネージが置かれ、実際に「猫プリン」を揺らしている動画が流れており、撮影の仕方がわからない方も真似しやすくなっています。

店内のサイネージで「猫プリン」動画が流れる
店内のサイネージで「猫プリン」動画が流れる

   「Studio Cafe MARU」では、「猫プリン」のことを「トスニプリン」という名前で販売しています。「トスニ」とは韓国語で「ウサギ」のこと。私はここで初めて、ネコではなくウサギをかたどったスイーツなのだと知りました。短く尖った耳が「ネコ」に見えることから、日本では「猫プリン」の愛称がSNSを中心に広がっているようですね。

   レジで注文して待つこと10分。ついに「猫プリン」とご対面です。「食べ物を揺らす」行動はこれまでの人生であまり経験がなかったことなので、正直とても抵抗がありました......が、楽しむためには欠かせないポイント。見よう見まねで、動画のように揺らしてみました!

左手で皿を揺らして、右手で動画撮影
左手で皿を揺らして、右手で動画撮影

   やってみると意外と難しい......。左手で皿を揺らすと、右手にまで影響が出ます。振動をカメラに伝えないように撮影するのは想像以上に高い技術を要することがわかりました。

   スライムのように激しく、大きく横揺れしながらも、プリンは無表情を崩しません。なんともシュールです。

   周りのお客さんがお皿を揺らすほか、スプーンで「猫プリン」のお尻部分をペチペチと叩く様子をみて、私もやってみました。お皿を揺らした時よりも動きは激しくありませんが、ぷるぷると体が振れる様子がなんとも可愛らしく、ひと通り撮影し終える頃には愛着がわいてしまい、食べるのがもったいない気持ちに。

   いざ、心を鬼にしてプリンを食べてみると、ほんのり甘いミルク風味が口いっぱいに広がります。食感は見た目通り、ぷるぷるで柔らかい! しかもスルッと食べきれると思いきや、意外と食べ応えもありました。プリンに添えられているベリーソースのおかげで、最後まで味に飽きることなく堪能できました。

   揺らす、動画を撮る、そして食べる。これら「猫プリン」体験を通じ、これまでの「静止画を中心とした映え」から、TikTokをはじめとする「動画の映え」に、SNS投稿のトレンドが変わってきていると感じました。

   TikTokが流行する前は、SNSで話題化しやすいのは「ただ見た目が映えるスイーツ」という印象でした。最近はTikTokをはじめ、動画がメインのSNSで情報を発信・受信することが主流になり、「トスニプリン」のように、動画を撮影して、SNSに投稿する一連の「エンタメ体験」ができるスイーツが話題になりやすいのだろう、とみています。

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