【書評ウォッチ】AKB48は「キリスト」か 超アイドルを論客熱く語る

   今や社会現象のAKB48を、うるさ型のおっさんたちがまじめに論じた。『AKB48白熱論争』(幻冬舎新書)がその本。4人の論客が「恥も外聞もなく」考え、分析し、ものにたとえる。「オウム」「援助交際」「巫女」「キリスト」といったユニークとも過激ともとれる言葉も噴出する。読んで「劇場に足を運ぶ勇気をもらった」と脳研究者・池谷裕二さんが読売新聞で、これまたまじめに評している。【2012年9月2日(日)の各紙から I】

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「総選挙」「恋愛禁止令」でヒートアップ


『AKB48白熱論争』(小林よしのり・中森明夫・宇野常寛・濱野智史共著、幻冬舎新書)

   4人は漫画家・小林よしのり、ライター・中森明夫、評論家・宇野常寛、社会学者・濱野智史の面々だ。この本でAKBを社会批判に資すると位置づける。ファンの投票で舞台のセンターなどを決める「総選挙」が関心を集め、「恋愛禁止令」が貞操憧憬を刺激する。人気はソーシャルメディアにのってさらにヒートアップしていく。

   AKBは「サリンを撒かないオウム」、ファンの金で投票させて夢を叶える図式は「マイルドな援助交際」、握手会の効能は「キリストの奇跡」などと、4人はファンの反感も恐れずに言ってのける。

   「外野だからこそ楽しめる陽気が、この本の最大の魅力だろう」「キモいと揶揄するのは自由だが、四人の疾走ぶりは正直羨ましい」と評者も認める。AKB仕掛け人の秋元康さんが驚いてスタッフに一読を薦めたほどの濃密な現代評論という。

異質の自伝に見る狂気と冷静

   ほかには、『立川談志自伝 狂気ありて』(亜紀書房)がおもしろい。東京新聞で「落語は噺(はなし)そのものより落語家を聴くもの」という詩人・八木忠栄さんが、異質の自伝と評している。

   異質なのは、死を直視した際どい語り、なりふりかまわない遺言に近い性格の内容。死の二年前から一年前まで書き継がれた。「立川談志の想い出という名の未練を書き残しておく」と結んでいるからすごい。

   晩年の高座では「精神と肉体の分離」を言い、「いつ死んでもいい」と語っていたそうだ。「狂気と恐るべき冷静さが有機的に混じり合っている」と評者は拍手を惜しまない。

   記事は「もう一冊」として、『立川談志の正体』(快楽亭ブラック著、彩流社)を薦める。入門と破門を繰り返した弟子が師の人物と落語を語る。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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