人気声優の小野大輔さんと杉田智和さん 「ゴッホとゴーギャン展」音声ガイド担当!

   大型美術展でおなじみの「音声ガイド」。イヤホンを通して、主要な作品を音声で解説する。有名俳優やアナウンサーがナレーターを務めることが多い。

   2016年10月8日から東京・上野の東京都美術館で始まる「ゴッホとゴーギャン展」は「声の出演」がちょっと変わっている。人気声優2人が特別出演し、メーンを務めているのだ。ともに30代。展覧会というと中高年客が目立つが、今回はナレーション目当てに、アニメファン層でもにぎわうかもしれない。

ゴッホ役の小野大輔さん(左)とゴーギャン役の杉田智和さん
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画家の手紙などを声で紹介

   ガイド役を務めるのは声優の小野大輔さんと杉田智和さん。小野さんがゴッホ役に、杉田さんがゴーギャン役になってナビゲートする。


ゴッホ役の小野大輔さん(左)とゴーギャン役の杉田智和さん

   小野さんはアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の古泉一樹役、「みなみけ」の保坂役、「機動戦士ガンダムAGE」のウルフ・エニアクル役、「宇宙戦艦ヤマト2199」の古代進役などで知られる。杉田さんは『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』(カズヒラ・ミラー)、『ジョジョの奇妙な冒険』(ジョセフ・ジョースター)、「涼宮ハルヒの憂鬱」(キョン)、「銀魂」(坂田銀時)など。ともにいま最も売れている声優の1人だ。

   フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90)とポール・ゴーギャン(1848~1903)は同時代を生きた画家だ。性格も芸術性も異なるが、固い友情で結ばれ、一時はアルルで共同生活をしていた。今回の展覧会は、日本で初めてそんな二人に焦点を合わせて軌跡をたどる。それぞれの手紙なども紹介しつつ、展覧会を盛り上げる。


左が「フィンセント・ファン・ゴッホ 自画像 1887年クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo」/右は「ポール・ゴーギャン 自画像1885年 キンベル美術館蔵©Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas」

   「ゴッホとゴーギャンは性格も作風も真逆の2人。杉田君の声と良い意味で対照的になるように意識して演じました。 ゴッホは一般的には繊細で弱い人というイメージかもしれませんが、ものすごく純粋で情熱的でエネルギッシュな人ですね」(小野さん)

   「ゴーギャンの人生を個人的に学んだりはしました。あとは細かく説明しても蛇足なだけですので、どうぞ音声ガイドをお楽しみください」(杉田さん)。

集客効果に期待

   一般に、大型展では大物俳優やアナウンサーが音声ガイド役を務め、落ち着いたトーンで解説することが多い。最近の例では、「古代ギリシャ展」は俳優の市村正親さん。「若冲展」は女優の中谷美紀さん。「カラヴァッジョ展」は北村一輝さんだった。「ポンピドゥー展」では声優の広居バンさんも参加したが、メーンはアナウンサーの山根基世さんだった。今回のように、二人の声優が共演で盛り上げるというのは珍しい。人気声優に白羽の矢を立てた理由を主催者はこう説明する。

   「手紙に垣間見える2人の心情を伝えるには、「聴かせる」声優さんにお願いしたい、可能であれば、『先輩後輩』『同志』『兄弟』のような関係を演じられる方がいればと・・・。小野さんと杉田さんは過去に共演歴もあり、ゴッホとゴーギャンの関係性を身近に感じて頂けるのではないかと思った」

   オランダの牧師の家庭に育ったゴッホと、南米ペルーで幼年期を過ごしたゴーギャン。出自も作風も異なるが、日本でもよく知られ、人気が高い。今回は二人がそれぞれ「最高傑作」と自認していた作品などゴッホの27 点、ゴーギャンの19 点のほか、彼らに影響を与えたミレー、モネ、ピサロなどの作品17 点の計63 点の油彩画が並ぶ。

   アニメブームもあって近年、声優は超人気。コンサートも開かれ、グッズも売られている。最近では「ぱるる」の愛称で親しまれるAKB48の島崎遥香さん(22)が、「(AKB)卒業後の夢はジブリの声優」と語ったという話が話題になった。中高年の美術ファンにはほとんど未知の世界だが、人気声優2人による「音声ガイド」が集客にどんな効果をもたらすか。本展以外の展覧会関係者も、ひそかに注目しているかもしれない。展覧会は12 月18 日まで。

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