iPhone「6s」「初代SE」現役続行 「iOS」6年前の機種も対応する深い理由

   米アップルが、スマートフォン(スマホ)「iPhone」向け基本ソフトの最新版「iOS 15」を2021年秋にリリースする。発表によると、ビデオ通話アプリ「FaceTime」でアップル製以外のスマホとも通話できるようになるなど、新機能が追加される。

   中でも話題は、「iOS 15」が2015年発売の「iPhone 6s」や、16年発売の初代「iPhone SE」にも対応している点だ。5~6年前の機種がまだ「現役」ということになる。古い機種をサポートする理由を、専門家に聞いた。

発売から6年、iPhone 6sは続投に(写真はイメージ)
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より多くのユーザー確保

   ITジャーナリストの三上洋氏によると、元々iPhoneでは古い機種でもサポートする方針で、発売後およそ4〜5年は最新OS(基本ソフト)を利用できるようにしている。「6s」の前機種「iPhone 6」(14年発売)の場合、「iOS 12」(18年リリース)まで対応していた。

   実は、最新機種「iPhone 12」より前のiPhoneシリーズで売上台数が最も伸びたのは「iPhone 6」で、「6」から「6s」にかけて普及台数が大幅に増えたという。今でも多いと考えられる「6s」ユーザーに配慮して、対応を続けているのではないかと分析した。

   「iOS 15」の「FaceTime」ではアップル製以外の端末とも通話できるようになるが、これはより多くの人々にサービスを使って欲しいというアップルの姿勢の表れだと三上氏は考える。様々なユーザーを確保するためにも、古いiPhoneのカバーを重要視したのではないかとみている。

   また、「6s」と「iPhone 6s Plus」、そして初代「SE」に搭載されている「A9チップ」(システムの動作を担うチップ)は優秀な性能を持つ。端末により大きな負荷がかかる最新のOSで動作できることも、「6s」がひき続きカバーされた理由ではないかとした。一方で「6」にはA9が搭載されておらず、スペックの問題で対応が難しくなったと推測している。

アンドロイドはカスタマイズが手間

   iOSのライバル「アンドロイド」の場合、新しく発売された機種で最新OSを使い続けられる期間は2〜3年の場合が多い。搭載端末は、開発元の米グーグル以外のメーカーが生産している製品がほとんどで、各メーカーが独自にアンドロイドをカスタマイズしてスマホに導入している。

   メーカーは最新のOSが登場するたびに各機種に向けたカスタマイズをしなければならず、これが手間になる。グーグルが他社の端末をサポートし続けることも難しい。半面、古い機種でも最新OSを長らく使えるiPhoneについて、「OS開発から端末販売まで一手にやっているアップルならではのメリットだと思います」と三上氏は話した。

   一部のユーザーがiPhone 6sを使い続ける理由について、まず単に新しい機種の価格が高いことから買い替えないのではないかと指摘。また、スマホの機能はiPhone 6sが発売された頃にはすでに成熟しており、「今でも十分使える」という背景があるとのことだ。

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