オミクロン株めぐり極端な施策 欧州でワクチン義務化vs規制撤廃

   オミクロン株による新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。このまま、まん延防止措置にとどまるのか、それとも緊急事態宣言に発展するのか――。

   日本より一足早く感染が爆発した西欧では、硬軟両様の全く相反する極端ともいえる対応が目立つようになっている。「硬」は規制強化、「軟」は、大幅な規制緩和だ。

海外ではワクチンを義務化する国も
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ワクチン未接種で罰金

   「硬」の代表格は、ワクチン接種の義務化だ。1月31日の朝日新聞が「欧米ワクチン義務化、陰る自由 未接種なら罰金・権利制限」と、最新状況をまとめている。

   それによると、欧州では、健康上の理由がある場合などをのぞき、ワクチンを義務化しようとする動きが相次いでいる。オーストリアでは1月20日、EU(欧州連合)で初めて幅広く成人(18歳以上)に義務づける法律が成立した。3月半ば以降、最高で3600ユーロ(約46万円)の罰金が科される。50歳以上に義務化したイタリアでは2月から100ユーロ、60歳以上が対象のギリシャでも罰金。

   未接種者に対する権利の制限を強化したのがフランスだ。1月24日、飲食店や長距離列車などの利用を接種者に限る法律が施行された。

   欧州ではワクチン反対の運動も根強く、日本でもデモする市民の様子などが報道されているが、背景には政府の規制が一段と厳しくなっていることがある。

デンマークは規制全廃

   一方では、規制軟化の動きもある。英国は、ナイトクラブなどの客に求める接種証明を1月27日から不要にした。チェコは60歳以上に接種を義務づける方針を撤回した。

   さらに際立つのは「水際規制」の軟化だ。日本経済新聞は1月29日、「世界各国、相次ぎ『開国』 水際規制の意義薄れ緩和 厳しい措置は日本のみ」という記事を報じている。

   英国は2月11日から、ワクチンを2回接種した人についてはイングランド地方に入国後の検査を不要とする。仏は、英国からの入国者は接種済みなら入国理由は問わない。入国後の自己隔離も不要。独は接種証明書などで入国可。

   同紙は、オミクロン株が各国で流行して水際で防ぐ意味が薄れた上、重症者が過去の感染拡大期と比べて増えていないため、と説明している。

   最も規制を緩めているのはデンマークだ。CNNによると、EUで初めて国内の規制が全て撤廃された。屋内でのマスク着用義務付けや、飲食店や屋内施設を利用する際の「コロナパス」提示義務、検査で陽性となった場合の自己隔離義務なども撤廃される。政府は新型コロナをもはや「社会的に重大な疾患」とはみなさないと判断したという。

   デンマークは人口当たりの感染率が、このところ世界で2番目に多いとされている。それだけに、思い切った方針だ。

WHO「勝利宣言は時期尚早」

   日本はこれまでのコロナ政策の延長で、まん延防止措置を適用。さらに感染が拡大する場合は、緊急事態宣言の検討、などという流れになっている。ワクチン未接種の罰金もなければ、水際作戦の大幅な緩和も行われていない。一気に対応策を激変させるのではなく、これまでの方針に則りつつ、微修正を続けている。

   ANNニュースによると、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は2月1日、「どの国においても、降伏も勝利宣言も時期尚早だ」と述べ、一部の国で「感染予防は不可能であり、もはや不要でもある」とする説が定着していることに懸念を示した。感染力が強く、重症化しにくいというオミクロン株の特性から、「そう判断するのは誤りだ」と指摘。各国に、緩和の動きに盲目的に追従しないよう呼びかけた。また感染者が増えれば死者も増えるとして、ワクチンだけではなくすべての対策を取るよう訴えた。

   FNNによると、新型コロナウイルスの新規感染者は3日、全国で10万4464人となり、初めて10万人を超えた。

   死者は、1日が70人、2日が82人、3日が89人と、第6波に入ってからのⅠ日の最高数が更新され続けている。

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